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2004/03/26

「入院患者の1割超に医療事故」はウソでは?

医療事故の定義がぶれてきた? の続報です。

3月19日、報道各社は次のように伝えました。
 「入院患者の1割超に医療事故」、「入院中の事故10人に1人」

3月24日のケアネット・ニュースの記事は少し詳しいです。
カルテから分析 30病院で医療事故調査(リンク先ないためホームにリンクしてます) Japan Medicine(株式会社じほう)

研究は、今年度からの3年計画。無作為抽出したカルテ、看護記録などを、「別の急性期病院への予定外の転院」など18の基準に沿って看護師がスクリーニングしたうえで、複数の医師が再検証して有害事象の有無を判定する。
 更には日本の在院日数が長いので、在院日数の短い外国と比較すると入院中に有害事象が起きても通常の在院期間中に回復する可能性があるとのこと。このことは、今回の予備調査の数字が少なめであるということを示唆しています。本調査ではもっと高い数字が期待されるというわけです。
 やはり「医療事故で死期が早まったり、入院延長されたりした患者が10.9%」だったのではなく、「医療事故で死期が早まったり、入院延長されたりしたなど18の基準に当てはまった患者(有害事象を経験した患者)」が10.9%だったのでは? なんだか最初の報道は限りなくウソに近いものだった確率が高くなったような気がします。
 「医療事故で死期が早まったり、入院延長されたりした患者は10.9%」でなく、「入院中の1割超に何らかの有害事象」と書くべきだったのではないでしょうか。報告書で確認できたらタイトルの「?」も取れるのではと思っています。
2004/12/8 追加とリンク切れの修正
 報告書をじかに確認していませんが、その後学会等で取材した結果、やはり、「入院中の1割超に何らかの有害事象」が正解で、「入院患者の1割超に医療事故」はウソだったことが確認できました。
 こちらのページの9月7日の項目も参考になるでしょう。

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時差を利用した国際遠隔医療

 最近読んだ話で「そうか!」と感心したのがこの話題。私のパソコンにも「へぇー」ボタンをインストールしたくなりました。

 遠隔医療支援の相手をわざと時差のある外国にすることで、「夜中に利用しても相手は昼間」という利点を使うものです。

 例えば以前あった小児救急遠隔医療事業では、救急の第一線と専門医の間をつなごうという試みであったわけですが、ただでさえ不足している小児科専門医を夜中に待機させる必要があります。

 国際遠隔医療のしくみを使って相談先を地球の裏側に置けば、専門医は普通の生活をしながら日本の夜間救急に対応できるのです。
 米国東部時間の朝9時から夕方5時までは、日本時間の夜11時から朝7時になります。もうすぐ米国は夏時間になるので、夜10時から朝6時。日本の夜間救急をカバーするにはぴったりの時差です。
 以下、法規制など難しいことは抜きです(笑)。例えばニューヨークに「日本向け遠隔救急医療相談センター」を作り、日本から専門医を交代で派遣するとします。待機する専門医も、夜間や休日は勉強と遊びの両面でニューヨークの生活を満喫できます。派遣候補者には困らないと思います。

 従来の遠隔医療は、距離の遠さを克服しようというものでした。国際間で症例検討会などをやると時差は敵になることも多かったようです。その反対に夜間の時間外勤務を「時間内」にするための、時間軸での国際遠隔医療、今後考える余地がありそうです。


 引っ越し準備中に読んだこのネタ、媒体をどこかに捨ててしまったので、紙か電子媒体かも含めて、どこで読んだかは忘れてしまいました。違う国の放射線専門医同士で、互いの夜間をカバーし合うという話だったと思います。ネット検索をすると2年前にこんなことを話してらっしゃる方がおられますので、新しいアイデアではないのですが。
遠隔画像診断の現状と将来:ユビキタス時代にむけて
  第4回 日本SGI HPC Open Forum 大会

参考過去記事 小児救急での電話相談体制-あの64億円はどうなった?

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2004/03/25

最強の金属探知機

 米国の空港で国内線に乗るには、金属探知機を通るときに、ベルトを外し、靴を脱がねばなりません。最近マンハッタンの観光をしたのですが、各観光名所の金属探知機の性能を知る機会がありましたのでご紹介。

 まずは自由の女神のあるリバティ島行きフェリー乗り場。もちろん携帯電話や財布は体から外して臨みました。ベルトは外させるものの、靴は脱がなくてもOK。そのかわりに腕時計を外すように言われました。これは空港では言われたことがないので驚きました。金属探知機も高性能化しているのでしょうか。

 次は国連本部。さっきの教訓を生かしベルトと腕時計まで外して、まずは相方が挑戦。「ピピーッ」と赤色LED。「もう金属はどこにも身につけてないよ」と言いながら目に留まったのが指輪。これを係官に渡してくぐるとパス。お次は私の番。指輪はしてないので、安心して通ると「ピピーッ」。もしや細身の金属フレームめがねか。これを外して通るとパス。うーん、恐るべし国連本部。ここの金属探知機の上を行くとしたら、虫歯のかぶせ物にも反応する探知機が出現するかも。

 でも、そういえばワシントンのスミソニアン航空宇宙博物館でも探知機鳴りまくりでボディチェックされたなぁ。

以上、空港より観光名所の金属探知機のほうが侮れないというお話でした。


Apr.2 追記
 帰国時に空港の探知機をチェックしましたので追加します。JFK国際空港は、ベルトを外させ、靴も脱がせますが、腕時計とメガネは着けたままでパス。あまり厳しいと飛行機のダイヤに影響するため、性能的には落としているのかもしれません。成田空港の国内線はベルトや靴はおろか、オーパーコートを着たままで通って良いと言われ、そのままパス。預ける手荷物の検査時に機内持ち込み手荷物はチェックしないので、そこで持ち込み荷物として検査を受けなかった荷物をカウンタで預けることもできそうな感じがしました。米国に比べると大甘という感じがしますが。。。

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2004/03/23

医療事故は繰り返されたのでなく防がれていた

残念ながらこの文章はタイトルだけで内容は現在公開できません。これだけでもわかる人にはわかると思いますけど(笑)。いずれ時が来れば公開できると考えています。

この内容で失礼かとも思いましたが、Googleで「医療事故 繰り返す」を検索した一位サイトの医療事故は繰り返す(I Seeさん)にトラックバックを送らせていただきました。

続きを読む "医療事故は繰り返されたのでなく防がれていた"

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2004/03/20

医療事故の定義がぶれてきた?

副題:入院患者の10%は重大な医療事故に遭っているのか?

年度末はどのお役所も大忙しですね。
入院者の1割超に医療事故、半数は防げた可能性 厚労省
(朝日新聞)
入院中の事故10人に1人 厚労省研究班が初調査(共同通信)

 で、今回の報道にある

医療事故で死期が早まったり、入院延長されたりした患者は10.9%
というこの結果はにわかには信じられません。調査結果の原文を見てみたいものです。

 この4月から一部病院についておこなわれる医療事故報告制度での「事故」の範囲には以下が含まれます。

本来予定されていなかった処置や治療(消毒、湿布、鎮痛剤投与等の軽微なものを除く)が新たに必要になった場合や、新たに入院の必要が出たり、入院期間が延長した場合等をいう。
 報道のとおりなら、対象施設は4月からは全入院患者の10%を医療事故として報告せねばなりません。多すぎです。仮に以下が10.9%なら、理解できなくもない数字です。
 大学病院や中規模の病院など7施設から、入院患者100人ずつのカルテを無作為抽出。うち予定外の再手術、術後の合併症、院内感染、転倒外傷などで患者が被害に遭った事例を、ミスの有無は問わずに「事故」として分類した。
 厚生労働省による医療事故の定義はどちらなのでしょうか。重大な事例のみなのか、とにかく有害な事象全てを含むのか。上記の医療事故報告制度のページを見ると、文字通り「グレーゾーン」があります。軽微な処置・治療を要した事例です。たとえば、
「糖尿病治療薬が予想より良く効いて低血糖となり、あめ玉を舐めたら治った」
今回の10.9%はここまでを含んでいると考えるのが妥当なところです。さらに軽い事象として、被害に遭ったけれど治療は要さなかった例はヒヤリハット事例報告対象です。
「糖尿病治療薬が予想より良く効いて低血糖となり、様子を見ていたら治った」
 ここまでを事故と呼ぶのかどうかをはっきりさせないと、やっぱり数字を出しては語れないように思います。医療事故の定義を広く取れば、入院患者の10.9%が事故にあったという記述は正しいです。しかし、死期が早まったり、入院延長されたりした患者は10.9%ではないはずですが…。 

 ちなみに、私は医療事故の定義として、上記グレーゾーンを除いた「厚生労働省に報告する範囲の1と2」にしてはと思います。具体的には以下です。

1. 明らかに誤った医療行為や管理上の問題により、患者が死亡若しくは患者に障害が残った事例、あるいは濃厚な処置や治療を要した事例。
2. 明らかに誤った行為は認められないが、医療行為や管理上の問題により、予期しない形で、患者が死亡若しくは患者に障害が残った事例、あるいは濃厚な処置や治療を要した事例。
 もちろん一部の施設においては、従来報告対象外だったグレーゾーンも含めた医療安全にかかわる全事例の収集・分析を行うことで、どんな定義での数字を求められても正しく答えられるはずです。これこそがマスメディアや一般市民の誤解を防ぎ、ひいてはより安全な医療現場への実現につながるのではないかと思っています。
一般的な医療事故の定義について知りたい方はこちらへ
リスクマネジメントの実践
(日本看護協会)
横浜市立大学病院改革委員会
医療事故学(1)医療事故とは(弁護士の藤田康幸さん)

参考過去記事 医療事故の報告を義務づける範囲が狭すぎる
続報 「入院者の1割超に医療事故」はウソではないのか?

Mar.26少し加筆しました。Apr.6,リンク追加。

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2004/03/19

粉雪、地吹雪、細雪-英語では何と表現するのだろう

他の文章との落差が大き過ぎるかもしれませんが、ニューヨーク周辺はこの3日間春の雪です。

 最初の日は天気予報どおり、昼前から強風とともに横殴りの雪が降り続きました。気温が高いのでなかなか積もらなかったのですが、午後から積もりはじめ、夜には15センチくらい積雪。

 二日目は、風が止んでぼたん雪。街灯に照らされながら音もなく舞い降りてくるさまは、心が洗われる感じ。

 三日目のけさは、細雪。ジャケットの縫い目に雪がくっつきます。やっぱり無風なので、セントラルパークの木々も、枝という枝に雪が乗って、樹氷のよう。小径を歩くとチョロチョロと雪解けの水音。連日地吹雪の続いた1月とは違い、さすがに春。

 九州育ちの身には雪ひとつでも新しい発見ばかり。明日くらいまで雪の予報が出ているけど、明日はどんな雪かな?

スキー場の雪状態を示す英語はこちらでもおなじみになりましたが、降る雪の状態をあらわす英語はあまりないみたい。
ウインタースポーツの英語

これから勉強してみようと思っています。

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メディアは役所の露払いになっていないか?

最近ニュース解説サイトのようになってきましたが、この件も触れた方が良さそうです。

82病院が医療費増…抑制へ「定額払い」導入したのに(読売新聞)

定額払いは無駄な治療や投薬をなくし、医療費を引き下げることが期待されているが、これらの病院の収入面で見ると、逆に増える結果となった。
 医療費を減らすために導入した定額払い制度の結果、医療費が増えたというのがこの記事の要旨です。

 この入院医療費の定額払い制度は平成15年度から全国の特定機能病院と東京女子医大病院(元特定機能病院)に導入された制度です。この制度は大変複雑でひとくちには説明できませんが、病気の種類によって入院医療費を決めてしまう制度です。従来の出来高払いと逆です。例えば脳梗塞で手術がなく、2~4週間の入院なら○○円とかいう感じです。
 ただ、いきなり完全定額払いというのでは、病院ごとの事情の違いをカバーできません。たとえば都会の病院と田舎の病院に不公平になります。都心の患者が手術をするのなら、血液検査、CT検査などを通院ですませておいて、手術前日に入院できますが、船で3時間もかかる離島の患者は通院できないので最初から入院になります。当然後者の方が長い入院で病院の経費がかかります。そこで、調整係数というのが考え出されました。

 以下は、第21回日本臨床検査医会振興会セミナーでの厚生労働省保険局医療課企画官 矢島鉄也さん(当時)の説明(PDF形式)の抜粋です。

医療機関別係数は機能評価係数と調整係数を足し合わせたものです.機能評価係数は医療機関の 機能を評価するための係数で,入院基本料等加算を係数化したものです.調整係数は医療機関の前年度実績を担保するための係数で,診断群分類による包括評価に係る医療費が平成 14 年 7 月~10 月の医療費の実績に等しくなるように各医療機関毎に設定したものです.
ということで、計算どおりなら医療費は前年並みのはずです。今回医療費が増えた理由は記事中にもこう書いてあります。
診療の効率化で入院期間などが短縮されれば、それを生かせる大規模な病院などでは患者数が増えて収入増となり…
しかし、見出しには、
抑制へ「定額払い」導入したのに
本文にも、
厚労省は、定額払いの導入によって患者1人当たりの医療費が低下し、その結果、2001年度で年間31兆円に上る国民全体の医療費の抑制につながると見ている。
とあり、いかにもこの制度で医療費が減らなければならないような論調です。元々医療費を減らさないために調整係数が設定されているわけですので、本来減るはずがないのです。前出の矢島企画官も、医療費を減らすためとは一言も触れておられません。
これは,特定機能病院の機能を適切に評価し,その機能にふさわしく良質で効率的な医療を提供するという観点から,「診断群分類」を活用した新しい包括払い制度を導入するものです.
 しかし、はからずもこの報道の裏に見えてくるのが厚生労働省の本音です。メディアは厚生労働省の本音を代弁させられているのではないでしょうか。本件を勉強不足と責めるのは可哀想な気もしますが、報道機関側も鵜呑みにされては困ります。

 今回始まった制度は、この調整係数のさじ加減で病院の入院医療費を自在にコントロールできる可能性を秘めています。従来の例を見ても、メディアはこのような報道で世論形成に利用され、調整係数引き下げに向けた露払いの役割をさせられているのではないかと思えてきます。さて、どうなりますやら…。

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2004/03/18

大臣が記者会見で商品名を出しても良いのか?

久しぶりに厚生労働省大臣の記者会見概要を拝見。

(記者)
 タミフルの備蓄が、まだ自治体で準備出来ていないところもあるようなのですけれども。
(大臣)
 タミフルの方は全国の医療関係にかなり備蓄されているというふうに思っております。約1300万人分、地域に行っておりまして、少なくともその半分以上はもうすでに各医療機関に出回っている…
 「タミフル」というのは中外製薬の抗インフルエンザウイルス剤で、商標は親会社のロシュによる登録になっています。一般名は「リン酸オセルタミビル」。

 厚生労働大臣たるものが記者会見でいち製薬会社の商品名を口に出し、さらにはそのまま省のWebサイトに載せても良いものでしょうか。
 私も一般名はうろ覚えでしたので、タミフルと聞かれればそのまま答えるのも解りますが、せめてWeb掲載の際に注釈を付けるとかしてほしいものです。記者も商品名を誘導する質問はやめてほしいと思います。

厚生労働大臣といえば、

鳥とBSE問題が続き「牛やら鶏やらモウ、ケッコウ」
という発言がありましたが、責めるほど悪いジョークではないと私も思います。他の閣僚の暴言・失言集に比べれば…。

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2004/03/16

「学生が電子カルテ閲覧」問題の深層

学生が電子カルテ閲覧 金沢医大、教員を処分」という報道がありました。このニュースには当サイトとしては触れないわけにはいかないなぁと思っていたところ、あるMLでさっそく質問がありました。以下はその二番煎じです。

 この報道、見出しを見ただけでは、医学部の学生に電子カルテを閲覧させたことが問題であるように受け取られやすいと思います。報道内容から読める範囲で事実関係を整理しますと、学生に電子カルテを閲覧させたことが問題ではなく、教員が学生に医師である自分のパスワードを教えたことが問題なのです。
 これはすなわち、学生がその医師としてカルテ記載や抗がん剤処方などの医療行為ができてしまうことを意味します。さらには学生がやったという証拠はどこにも残りません。

 この学生の利用という問題は大学病院での電子カルテの運用上問題になるポイントの一つです。解決策はいろいろありますが、代表的なものとしては、権限を制限した閲覧用の学生用IDを作るというのが一つ。他には医師が必ず同席して、自分の権限で開いたカルテ内容を見せるという方法があります。臨床実習が実技志向になっている現状では、学生に電子カルテやオーダリングシステムでの処方の実際を体験させる必要もあると考えれば、この方法を取りたくもなりますね。
 紙カルテでは、学生が勝手にカルテを見ることも可能な施設が多いと思いますが、電子カルテではセキュリティが高い分、学生の利用には不便もあるわけです。

 人手不足の日本の大学病院で、学生の電子カルテアクセス権を正しく管理していくのは並大抵のことではありません。医師のアクセス権でさえきちんと管理するのは容易ではないのです。「退職した医師が次の日からシステムを使えないようになっているか?」という問いに、胸を張ってイエスと答えられる病院がどのくらいあるでしょうか。私の米国の職場はきっちりとそれができているようです。私が米国に来たのは、このようなあたりまえのことにしっかりと対応する仕組みを学びにきたわけで。

 金沢医科大学の今回の処分は、このような基本原則をきちんと押さえた点で評価できると思います。メディアはそこまでわかっていなかったのかもしれませんが、報道してくれたことには感謝です。

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医療の情報基盤シンポジウム

医療を支える情報基盤~ともに考えるシンポジウム-今後の医療ITの展望と課題-が開催とか。 開催趣旨は次のとおり。

 医療ITが一定の普及をみた今日、今後の医療分野におけるITの進路はどうあるべきかに関心が寄せられています。『ITは医療にとって必要不可欠なのか?』『何のためのIT化なのか?』との根本に立ち返って意見交換することは、意義深いものと考えられます。
 そこで、我が国の医療の情報化を支える根底のところで何が問題になっており、どのようなことが望まれているのか、医療情報の専門家、臨床医学の実践家、情報システムのエンジニア、国民の視点を代表する有識者が一同に会し意見交換を行い、幅広い層の医療関係者の方々に理解を深めていただく第一歩となることを期待して、本シンポジウムを開催するものです。
 で、「国民の視点を代表する有識者」というのが、私もウォッチしてます医療情報ネットワーク基盤検討会のメンバーと同じなんですよね。まあ知った顔だから話してくれることも予想できるのでこの人選になったと思いますが、できれば視野を広げる意味でも、別の方を選んで欲しかったと思います。
 他のメンバーも、だいたい有名どころなんですが、月並みというか手堅すぎるというか、新味が無い感じ。過去のお仕事内容から見て、お話の内容の一部は私にもだいたい予想がつきそうです。今まで医療分野のITの舵取りをしてきたような方たちに「根底のところで何が問題になってるの?」と聞くよりは、船底で油まみれになっている人たちの意見こそ聞いてみたいなと思います。地理的にも北海道や東北、沖縄の人にも語らせるべき。

 ついでながら、この9人に医療分野でのblogの可能性についてもお聞きしたいものです。というか「blogって何?」という方もおられるかも…。


参考過去記事 医療に関するblog探訪(2) 患者と医師のネットワーク基盤

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2004/03/13

医療事故防止に患者や家族の力を(米国)

 最近、患者や家族が医療事故の防止にどのように貢献できるかという問題の研究の手伝いをしていますが、偶然米国でも今週そのような運動を行っていました。NPSFという団体による、患者安全認知週間です。

 今年のテーマは、

Patient Safety: The Power of Partnership.
NPSFの広告などを見ていると、患者に対しては「医療者に何でも聞こう」、家族に対しては「医療チームの一員という自覚を持ち、声を上げよう」、医療者に対しては、「患者や家族とよく話し合おう」と訴えていました。

 ひとくちで言って、米国の病院には日本の何倍もの医療スタッフが働いています。医療現場が危機的な人手不足である日本こそ、患者本人や家族が医療事故防止のために果たすことのできる役割が大きいのだと思っています。

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2004/03/11

実話に基づく病院広告(米国)

院内ニュースレターで、最近の当院の雑誌やラジオの広告の自慢をしていましたので、ちょっとご紹介します。

 だいたいはキャッチコピーとその患者の物語になっています。もちろん実話で、患者は実名で登場します。以下はそのコピーです(私の意訳)。

「Bxxx Gxxxxが脊髄を損傷したとき、ほとんどの病院は麻痺してしまった」

「R.G.の両親は、彼女が脳損傷を受けたときに涙を流した。のちに彼女がコロンビア大を卒業した時ほどではなかったけれど」

「弁護士が喉頭癌を患ったとき、他の病院は手の施しようがないと言った。それに対して私達は『異議あり』と申し立てた」

 いずれの物語も、自院の傑出した医療のおかげで、他では治らないと言われた傷病が回復したという話です。これらの広告は、ある広告代理店と組んで作っていますが、最近複数の広告に関する賞を受けています。
 日本ではもちろん広告規制があるのでこういう広告は存在しませんが、Webサイトは広告規制対象外とされていますし、むしろ患者個人の闘病記サイトなどで、こういう物語を載せる事例も現れてくるのではという気もしてきています。

 とはいえ、「このような個人闘病記サイトが実は病院の息のかかったモノだったら?」という懸念を持つ方もいらっしゃるでしょう。難しい問題です。JIMA(日本インターネット医療協議会、いちおう私も会員)とか、最近できたJACHI(医療健康情報認証機構)等がこのような問題に対応しようとしており、一定の役割を果たしてくれるものと思っています。

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2004/03/10

微笑-苦笑-爆笑-嘲笑--私が顔文字を使わない理由

副題:何でも(笑)でいこう

 4歳の娘を米国の幼稚園に入れたのですが、彼女が最初に覚えてきた英語(?)が、「わっかんなーい」のポーズ。両肩を上げ、両てのひらを上に向け、首をかしげます。さすが本場の(?)米国仕込み、日本人離れしていて実にサマになっています。

 あるサイトで文末に半角の「w」が多用されている文章を読みました。たぶん「w」はこの"I don't know"ポーズを指しているのだろうと思い、更には呆れたように笑っている様子を想像していました。すると別のところに「意味するところは単に軽い笑いのつもりで嘲笑のつもりはありません」との但し書きが。
 偶然読んだところでは、この「w」はwaraiからきているとか、日本語の不自由なオンラインゲームで多く使われたとか。形を意味しているわけではなかったのですね。

 私はこのweblogという公開の場所で、普通に日本語の読める人全てを相手に万人向けの文章を書いているつもりですので、このような本論と関係ない部分で疑問を抱かせたくないという思いがあります。補足説明しないといけないような表現はできるだけ使いたくない。専門用語も不用意に使わないよう気を使っているつもりです。そこで、一番多くの人がわかってくれるあろう「(笑)」を使います。

 そういえば、かつてパソコン通信の草創期の頃、やたらと日本語の文末に「grin」と付ける人がいて、イヤな奴だと思いながら辞書で調べたことがあります。やはり「ニヤリ」と笑う意味でした。英語圏から直輸入だったようです。その後に「:-)」等が出てきたときは、調べなくてもわかりました。
 その後顔文字も氾濫していますが、中には横のセリフを見てようやく理解できるようなものもあり、見るのは嫌いではないですが、自分では使いません。視覚障碍者の方用の読み上げソフトでは、顔文字を表現できないだろうというのも大きな理由です。
 「笑」という漢字も元々象形文字ですので、括弧でくくると顔に見えてきませんか。これで充分だと思います。もう一つ、爆笑を表す「(爆)」も否定はしませんが、爆笑してるとキーを叩ける状態ではないので、私はたぶん使ったことがないと思います。

 ただ、同じ「(笑)」でも微笑なのか苦笑なのか(時には)嘲笑なのかを読者に解ってもらうためには、前後の文章力が必要です。これは私には当面無理かと思われ、永遠の課題になりそうです。「(苦笑)」と書いてもよいのですが。


 ちなみに、娘が仕入れてきた二番目の英語は「レミスィー」です。Let me see!(見せて見せて)というわけです。幼稚園での実用英会話というのも興味深いですね。

幼稚園児向けの英会話教室の方、参考になりましたでしょうか(笑)。

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2004/03/07

過去からのトラックバックの是非(トラックバックのネチケット追補)

 久しぶりに訪れたお気に入りのblogを読んでいて、そういえば自分も前に関連した内容を書いていたことを思い出しました。とっさに「トラックバックを送ろうかな」と考えたのですが、「待てよ」と思いました。時系列が逆なのです。

 今までは、誰かの記事を読んで触発されて自分が何か書いたとか、何か書いてから公開前に関連記事を探して、トラックバックを送ってきました。果たして古い記事から新しい記事にトラックバックを送って良いものか?

「そんなことに拘泥せずに迷わず、打て」という声が聞こえてきそうですが(笑)、まぁその些細な心理を掘り下げるのがこのシリーズの目的ですのでお許しを。
 リンクの存在を時系列に見ると、記事中のリンクは公開時には存在していたわけです。トラックバック(以下TB)は必ず公開後に発生します。リンクができた時間こそ違いますが、リンクの追加という結果自体は同じで、その先は古い内容であってもかまわないでしょう。
 しかしTBを送ったという行為への言及は必要だろうし、TBを送るときにはリンクを張るべきという考えからすると、TBのみというのは許容できません。元記事執筆中にはTB先は存在しなかったわけですのでリンクがあるわけがないですね。

結論
以下が私の考える「過去からのトラックバックの送り方」です。

・記事はそのままでトラックバックだけ追加するのは良くない。
・過去記事に今の日付で相手へのリンクを追加して、トラックバックしたことを追記する。
さらには、
・相手記事に関するトラックバック追加の理由や、最初に自分が書いた以降の意見の変化などを追記するとなお良い。
 しかし、そうやって書き足していくと、いっそのこと新しい記事にして相手と自分の過去記事にトラックバック送ったほうがすっきりするかもしれませんね。

 結局発端の件はどうしたかって? コメントの名前にURLつけて来ただけです。コメントの方がふさわしい内容でしたし。。。


余談
 この記事と過去記事の「トラックバックのネチケット総説」の関係にも困りました。あちらの本文中にリンクを追記すべきか、この記事からトラックバックとして送るべきか。考えたあげく後者にしました。
 とは言いつつあちらのリンク集も更新してます。でも古い日付の記事を延々更新するのも、blogの使い方としては良くないのかなーなんて。
 やはりメタブログをやりだすときりがないですね。 <そんなら書くなよ(笑)!
Mar.9追記
 ごちゃごちゃ言うより試してみることにしました。以下の2件に過去からのトラックバックを実践です。

結果的に引用のないトラックバックになってしまうこともある-観測気球さん-
以下に同感です。。。

同じような趣旨の記事、関連する記事は、複数の場所で独立に同時発生する傾向があるんでしょうか。
過去の記事からトラックバック-海外鉄道旅行愛好者さん-
 ま、私はどっちかというとこういう些事にこだわる方ですが、自分が気をつけるだけで、他の方に強制しようとは思いません。マナーは強制するものではないだろうし、だいたい私のような者が勝手に言ってるだけですので。でも知らないよりはよいだろう。「知っているけど私はやらない」というのも良いと思います。

 私は米国東部時間ですので、日本から10時間遅れ。日本は既に3月10日。過去なのか未来なのかややこしいです(笑)。


その他のリンク(すみません、最初に書いたとき見落としてました)

過去の記事からのトラックバック
-philosophicalさん-

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RN/CIO-ナースがIT責任者になる病院が増えている(米国)

 こちらの職場のITに関する院内会議によく列席させてもらいました。そこで入院部門のシステム責任者と知り合いになり、あとで彼のオフィスに行ってみたのですが、部屋の表札にRxxxx Bxxxx,RNと書いてあるのです。RNといえば、普通Registered Nurseで看護師のこと。別の日に外来の電子カルテの責任者からも名刺をもらいました。彼の名前にもRNがついています。イントラネットの組織図を見てみると、IT部門の幹部10人くらいのうち3人がRN、医師であるMDは一人だけでした。ひょっとするとナースの略じゃなくて、システムエンジニアの資格にRNというのでもあるのかと思ったのですが、調べてみても見あたりません。こちらのIT幹部にはRNが多いことに驚きました。

 折しも、図書館で毎号読んでいるHospital & Health Networksという雑誌の特集がRN to CIOというものでした。私の職場ではCIO(最高情報責任者)はビジネス畑の人ですが、ナースでCIOになる人が増えているようなのです。

 医療機関の現場職員と経営者は考え方がまるで違うということなんですが、RNは医療現場を知っているので、両者の架け橋になり得るわけです。しかし、時には仕事上の最大の敵が皮肉にも現場ナースになってしまうこともあるとか。
 RNがCIOになるためには、リーダーシップとビジネスの知識、技術の理解が必要なのだそうです。リーダーシップの項には、「技術語でなく英語をしゃべること」「全体を見渡せること」「人を見る目があること」と書いてありました。

 彼女たちの動機は何かというと、ナースをやっていては給料が上がらない、出世できない、興味が満たされないというので、勉強してこの世界に移ってきます。
 しかし、先駆者の中には職探しの時にRNという肩書きがかえって邪魔だったという経験を持つ人もいます。雇う経営者の側に、ナースというだけで思考回路が自分たちと違うという先入観を持たれたからだそうです。
 とはいえ、最近は状況が変わってきています。CIOを探す方も、臨床での経験のある人材を重視します。すると、医師よりもナースが先に候補にあがるのです。なぜかというと、ナースは人を管理したり指導する訓練を積んでいるから。

医師にとっては耳が痛い言葉でした…。


 こちらで初対面の人に「日本で何やってる人?」と聞かれるのが一番困ります。IT部門と答えると、「ちょうど良かった。いつもパソコンが壊れて困ってるの、あなたも詳しいんでしょ、何とかしてよ」と来るし、医者と言うと「ビタミンAの多く含まれる食べ物を教えて」、病院システムの開発と答えると「Accessのフォームにうまく計算結果を表示できないんだけど、どうすりゃいい?」、vice CIOなどど言おうものなら「コンサルティングで忙しいんだね」ときます。うーん、どれもできないことはないけど中途半端で…。いっそ「CYO」-Chief Yorozu Officerで行くか!

最高責任者(Dr.森川の人間風車さん)
Cyber titles in alphabetical order(By Zeng Min, Shanghai Star)

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2004/03/06

養鶏場とWindowsはどちらもウィルスに弱い

副題:単一栽培(モノカルチャー)によるウィルス耐性の低下について

 鳥インフルエンザというのはいろんな面で怖いです。もちろん医学的には、これが人同士で感染するように変異した場合。そして社会学的には人々に本来不要な心配を募らせてしまうということ。更には農産科学的には養鶏場という高度に合理化された生産システムに大打撃を与えるという問題です。

 養鶏場と鳥インフルエンザを見ていて常々感じていたのが、Windowsとコンピュータウィルスの関係です。コンピュータに多様性が少ないからウィルスの被害が大きくなる。ちょうどT's diaryさんが「意識のない人には、何を準備しても...」で、未対策のWindowsがある限りウィルス問題は解決しないというような話をされてましたので、トラックバックさせてもらいました。結局現状のWindowsである限りウィルス問題は解決しない気がします。

 同じ機能を持つWindowsでも、中身のコードや処理方法が多様であれば感染しない物が出てきて良いわけです。かつてのNECのPC-9800シリーズ用純正MS-DOS等の製品には、EPSONの互換機では動かずNEC製でだけ動作するようなプロテクトがありましたが、その逆?互換でありながらウィルスにやられないと。
 もっとも、手作業でこんなことをするのではお金がかかりますので、システムが自律的にそのような変異を行ってくれるのが理想です。最近の動向はどうなってるのかなと思ったら、いろいろ報道がありました。

OSに多様性を持たせることでウィルス耐性を持たせようとする試みの報道

MSソフトの「単一栽培」はウイルスへの抵抗力を弱めているか(上)(下)
コンピュータの「モノカルチャー」研究にNSFが75万ドルの資金提供
ソフトに「個性」持たせる手法を研究 米大学
 でも、システムよりもウィルスの方がそのしくみを先に身につけそうな気がします。ウィルスのパターンファイルが普及したころを見計らって変異を遂げるとか。自然界のインフルエンザウィルスの変身ぶりを見てるとそのような気がしてきませんか?

おまけ

 最近は何が起こるかわからないご時世なので、もうひとつ考えたくない悪夢を。「コンピュータウィルスの一部は、愉快犯ではなくてウィルス対策ソフト会社が製品の売り上げを維持するために裏で時々ばらまいていた」なんてことのないようにお願いします。
 でも、医療の世界では、医者による抗生物質の濫用で耐性菌問題が深刻化しているわけで…。
その他参考サイト

このコラムは昔ですが鋭いですね。

あなたは DNAを信じますか 第7回
 ウイルスの脅威について考える(前半)(後半)
もっと昔の拙文(笑)。
マイクロソフトと恐怖の大王

公開11時間後、TBの理由など少し加筆しました。
参考 過去の記事 幼稚園や小学校の鳥が隔離や処分とか

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2004/03/03

国民医療費の節減には腎移植の推進を

 図書館に行くと、ひとつだけ日本語の医学雑誌があります。「医療」という名前の国立病院系の学術雑誌です。なぜこの雑誌がニューヨークの図書館に送られてくるのは不明ですが、何百もの雑誌の中に漢字があると、やはり手に取らずにはおれません。

 ここにある最新号、医療vol.57,no.11は透析医療の特集の前編でした。今までもどこかで聞いたことはありましたが、日本は透析大国なんだなぁということをこの特集を読んで改めて再認識しました。

 日本の透析患者は2001年現在21万人いて、過去10年で倍増しています。100万人あたりでは世界一の数字です。いっぽう透析患者の死亡率は米国の半分近くで、日本の透析医療は米国に比べて優秀な成績であると言えるでしょう。
 米国では国が透析の総医療費を据え置く政策をとったため、一回の透析時間の短縮、機材の再使用が問題となっているということで、高い死亡率もその影響であることは否定できないようです。日本でもこのまま透析医療費が伸び続けたのでは、同じ道をたどりかねないことが懸念されます。

 一方の腎臓移植の年間件数は、日本746,米13372,仏1840となっており、英国は1487ですがこれは献腎のみの数字です。日本の腎移植のうち献腎によるものは1989年の261件をピークに減少傾向となり、最近は150から200以下となっています。特に近年は、臓器移植法の施行により心臓死での腎移植にも脳死臓器移植と同じ手続きが必要だと誤解されているためだと思われ、残念なことです。脳死による腎移植は年間16件程度で、この減少分を補うにも足りません。

 今回の特集で特に興味深かったのは、医療費の計算です。費用の面から見ると、透析は一人年間500万円かかります。腎移植後は年間平均200万になります。腎移植後の患者は透析中の患者に比べて合併症による入院が少ないので、それ以上の医療費が節約できるとのことです。移植の半数は10年生着するという成績から計算すると、現状でも献腎による腎移植の効果によって年間数十億円の医療費削減になっているというのです。
 乱暴なことは承知で、仮に人口比で英国並みの献腎腎移植件数、今の20倍になったと仮定してみましょう。千億円の医療費が節減できるのではないでしょうか。これはなにも国民に痛みを強いる改革ではありません。患者の生活の質を上げながら医療費が節減できるのです。

 脳死や心臓死からの献腎腎移植を増やすことは、日本の国民医療費を減らすよい方法だと思います。

半落ち効果

 本と映画がヒットした「半落ち」で骨髄バンクの登録が増えるという嬉しい事態が最近ありました。これが、私がまさに医療ジャーナリズムに期待する効果なのです。お上に期待できないなら、せめてこういったブームに乗じて献腎移植が増えることを願いたいと思います。SMAP草なぎさん主演の透析離脱ドラマ、作ってもらえませんか。
関連リンク
今回の特集の執筆者のお一人がおられる、国立佐倉病院臨床研究部のページ
 なんと3月1日から国立千葉東病院(仮称、リンク切れ)への統合のため、
 聖隷佐倉市民病院(仮称)に移譲され、
 10日前に存在した上記はすでにリンク切れです。何考えてるんだか(怒)。
腎移植を学ぶ会
透析患者のための医学入門講座(3)「透析医療のこれから」

その他なんとなく見つけたもの
東京女子医大腎臓病総合医療センター
透析の説明と海外事情 「糖尿病診断室(過激発言御容赦)」
小児腎移植への挑戦 東邦大学


当初の計算が大嘘でしたので訂正しました。すみません。。。
Mar.9追記
国立佐倉病院のページ、腹を立ててもしようがないので、キャッシュから転載します。新病院で復活したら削除の予定。
免疫機構研究室 室長 坂本薫

 免疫機構研究室では、腎移植患者の慢性拒絶の病態解明と治療法の開発、増加する一途の糖尿病性腎不全に対する根治療法として期待される膵・膵島移植の2つをメインテーマとして研究を進めています。これらの研究の解説は次回以降に譲り、まずは腎移植一般の話と当院における活動内容を紹介いたします。

 慢性腎不全の根治療法-腎移植-と国立佐倉病院

 腎移植が成功すると、患者さんは透析を受けていた時とは比較にならないくらいの恩恵を授かります。日々の食事や水分摂取の厳しい制限から開放され、週2~3回数時間に及ぶ透析のための通院が不要となり自由に旅行や移動が可能になります。長年の透析治療でも防ぎきれない循環器、骨、内臓などの様々な合併症の進行も止まり時には改善し、女性にとっては妊娠出産の可能性が飛躍的に高まります。さらには医療費の点でも比較にならないくらい軽減されます。平均的な経過をたどっている腎移植患者さんでも一人当たり1千万円以上もの医療費が節減されています。腎移植は医療技術としても既に20年以上経っており、その成績は5年生着率が65.7%、生存率90.4%であり、10年生着率も41.2%(生存率80.3%)と安定しており、諸外国にもひけをとらない水準を維持しています(国立佐倉病院献腎移植症例)。
 わが国の慢性透析患者数は、昨年12月で206,134人に達しさらに毎年3万人以上が新規に導入されています。これに対して、唯一の根治的治療法である腎移植数は年間わずか744件(2000年)にすぎません。しかもその多くが生体間の移植で(598件;80.4%)で、死後の提供による献腎移植は146件19.6%です。献腎移植を希望して日本臓器移植ネットワ-クに登録している待機患者数は13,230名に上っています(2000年12月)。
 国立佐倉病院では、旧療養所時代の1974年(昭和49年)5月に国立病院・療養所における最初の腎移植を献腎、生体腎ともに実施して以来これまでに201例(献腎99例、生体腎102例)の腎移植を行ないました。特に献腎移殖は、当時ふた桁(10例以上)の移殖実績を持つのはわが国では佐倉病院・千葉大学第2外科グループのみという草創期であり、当院での移殖症例の積み重ねに伴なって地方腎移植センターの整備や死体腎移植オンラインシステムの運営などを担当し、全国の腎不全(移植)対策の中核施設となってきました。
 平成7年の社団法人日本腎臓移植ネットワーク(現日本臓器移植ネットワーク)発足にともない当院の役割も変化してきましたが、臓器提供に関わる組織適合性検査の全国センターとしての役割を果たし、院内で腎移植を行うばかりでなく県下および近隣県の提供施設からの献腎摘出に協力しています。平成9年に臓器移植のための新しい法律である「臓器の移植に関する法律」が制定され、長く我が国では行われなかった脳死下での臓器提供が可能になりました。平成11年5月には国立佐倉病院でも第2例目の脳死下臓器提供をうけて腎移植を担当いたしました。手術後の経過も良好で提供者とご遺族の遺志を無事に生かし、また患者さんの長年の希望をかなえることが出来ました。脳死であれ心臓死であれ突然の死に際しての臓器提供というものが非常に大変なことなのだということを毎回痛切に感じさせられますが、これまでに合計16件の脳死下での提供があり、我が国での脳死下臓器移植も徐々に定着して行くように感じられます。脳死移植が実現した今日でも、我が国の移植医療に最も不足しているのは提供者数が少ないことと言えるでしょう。みなさんはドナーカード(臓器提供意思表示カード)はお持ちでしょうか。
新しい取り組みをご紹介します。成績が安定しているとは言ってもより良い成績を目指した研究と研鑚は怠ってはなりません。献腎移殖では、より正確で効率の良い組織適合性(HLA)検査や提供腎摘出技術の開発改良が必要であり、生体腎移植ではより負担のない手術方法の開発により提供者、受腎者ともに移殖が受けられる可能性の拡大に取り組むことが求められています。わたし達は新しいアプローチ(到達)法による後腹膜腔鏡視下ドナー腎摘術を開発し提供者の身体的精神的負担の少ない良好な結果を得ています。また診療各科との連携により腎提供者の適応拡大に努め、軽度の生活習慣病を有していたり比較的高齢の提供希望者からの生体腎提供も安全に行なえるようになりました。
移植患者のQOLも大切です。腎移植は移殖医だけで行える医療ではありません。移殖手術は治療の始まりにすぎず、移殖後の様々なケアがその後の成績と患者さんのQOLを大きく左右します。免疫抑制剤とその副作用、透析治療時代からの持ち越した疾患、新たに発生する合併症等に対しては内科医、透析医、整形外科医などの医師団と看護部、薬剤部、栄養管理室等の協力のもと多様で多角的な診療や生活指導が必要とされます。さらには提供者への精神的援助、医療費・障害者年金などの経済的問題に関しては事務系職員も重要な役割を担っています。当院は各科の垣根が低く、各部署との連携も円滑に行なわれております。また今年度から発足した政策医療腎疾患診療・臨床研究ネットワークシステム(通称「腎ネット」)により国立病院・療養所での腎移植全症例(381例)を集めたデータベースを構築し国立病院・療養所全体での共同の診療・研究体制を整備しつつあります。このような病院全体さらには国立病院・療養所全体としての一丸となった取り組みが今後ますます重要となると思われます。
 当院は、千葉県西北部北総台地のほぼ中央である佐倉市にあり1874年(明治7年)創設され127年の歴史を有しています。国立病院療養所の再編成計画により、近い将来国立療養所千葉東病院(千葉市)との統合が決定されました。現在すでに研究部門(臨床研究部1部5室)を有し腎ネットを立ち上げ政策医療推進を担う研究を行っておりますが、統合後は国の政策医療ネットワ-クの中心となる高度専門医療施設(準ナショナルセンタ-)として発展することなります。ここに述べました歴史と実績を踏まえ、確かな地歩を固めて行きたいと意を新たにしております。

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ネットワークゲームとひきこもり

 今どきはネットゲームをネトゲと略したり、ひきこもりはヒッキーなんて略すんですね…。

 私が最近購入したXBOXにはネットワーク機能が標準装備で、最近の新聞記事を見ても、米国市場でのネットワークゲームに限ればプレステ2と互角以上の勝負ができているようです。残念ながら現在の私にはネットワークゲームにまで手を出す余裕がないので、体験できずじまいです。

 そんな折、ネットゲームとひきこもりの関係について調べる必要に迫られました。

  まず感じたのは、「ひきこもり」という概念の定義が必要だということです。斎藤環さん( この方はひきこもり研究の第一人者なんだそうです)による「社会的ひきこもり」という言葉もあるので注意が必要です。ひきこもりラウンジさんが定義の比較をしてくださっています。私の印象では、病的なひきこもりと、それほどでもない引きこもり状態があるのだと思います。「社会的ひきこもり」というのはその中間かも。

斎藤環さんによるひきこもりの解説
 一方、ネットゲームの特性としては2つ考えておく必要があります。ひとつは世界が常に変わるので飽きることが少ない。もうひとつはネット上に人間関係ができるという点です。これが長時間プレイができ、ゲームを離れても気になってすぐ戻って来てしまう原因になります。

 ここで「ネットゲームがひきこもりとどう関係するか」ということに関しての私の意見ですが、ネットゲームばかりやっていると、引きこもり状態になりやすいが、おそらくはそれがすぐに病的な引きこもりになるわけではない。しかし、その状態が長く続くと結局は病的な状態になることもあるのではと危惧します。

あなたの子は大丈夫? ネットゲーム中毒(読売新聞から)

ひきこもりに大流行の兆し インターネットゲーム
ネットゲームに半数以上が依存  引きこもり中高生ら 民間研究所調査
教育研究所所長・牟田武生さん(毎日新聞から)

 他方、病的な引きこもりには、うまく使ってもらえれば、むしろネットゲームが社会参加へのステップとして役立つ場合もあるのではないかという意見もあります。これは興味深いですね。
短期集中連載:東大公開講座より(ITMedia)
 「ゲームが人を暴力的にする」は支持されつつある
 「ゲームをするからひきこもりになる」は因果関係が逆
 ゲームのせいで日常的に「ゲーム脳」になるとはいえない

斎藤環インタビュー ~ひきこもり・日本文化・ネット~ (bk1)

テレビゲームの無罪/有罪(UP-STREAM mail magazine)

 従来のゲームは「はまる」けど人間とのふれあいが少なく次第に自己嫌悪感を催してくるのに対し、ネットゲームはハマルうえに、ネット上で人間のつながりまで提供してくれるため、この自己嫌悪がおこりにくく、いっそうひきこもり状態を助長するものと思います。
 ネットゲームにも、「やっぱり実世界の方が良い」と思わせる仕組みを故意に入れておくなどの対策の必要があるのではないでしょうか。突然のシステムダウンで世界がみんな消えてしまうとか、核戦争が起こるとか、突如「イデが発動」しちゃうのも良いでしょう(笑)。ゲームメーカーの方も真剣に考えてみてください。既にやってるかもしれませんが。

 子供がネットゲームにはまって困ってしまったら、親も一緒にそのゲームに潜って我が子と出会うのも良いかも…。そんなことを夢想してしまいました。


その他参考サイト
沈没ピアノ-複数の投稿者による、(ひきこもり系)ページ
廃人類 ネットゲーム廃人について
それさえもおそらくは平穏な日々

こちらココログのカテゴリーには「ゲーム」というのがあります。レトロゲームのレビュアーでもある私としても当然このカテゴリは有効にしてあり、12月頃から「ゲームの医療への効用」などといった下書きを準備したりはしていたのですが、ようやく登場させることができました。

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