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2004/06/29

絵空事の病院経営(3)ITはむしろ医療の周辺業務で役に立つ

 この内容は半年くらい前から頭の中にあったのですが、先週北九州医療IT研究会が開いてくれた無料イベント「病院における電子カルテ講演会」に触発され、とりあえず書いています。

 医療のIT化を推進して経営に役立てるというと、まず電子カルテを思い浮かべる方が多いと思います。

 そうじゃないだろうと私は前から思っていました。今回の講演会では、情報システムの導入で看護師や事務職の残業がほとんどゼロになったという病院がふたつありました。どちらも電子カルテを持ってはいますが、電子カルテ業界の主要製品とは反対の岸を歩んでいる印象です。では業務効率化の鍵としてこの2つに共通しているのは何でしょうか。それはグループウェアをとことん使い込んでいること。

 病院の職員は、実は伝言・連絡・業務割り振り・スケジュール調整・施設予約・書類作成・稟議・決裁といった、言いようによっては医療と直結しない雑用に取られる時間が大変多いのです。これらの雑用をグループウェアで解決してあげるだけでも、医療関係者は本業に集中でき、定時に帰れる大きな力になっているのです。

 「実例があるようじゃ、絵空事じゃないだろう」ですって? 私の職場ではじゅうぶん絵空事なんです。。。私自身は1999年以来ExchangeもGroupWiseもNotes/DominoもCybozuも実ライセンスを動かし、そのうち3つは現役なんですけど、今使ってくれているのは100ライセンス中10人足らず。

 締め切り前の原稿がたまっているのに、つい書いてしまいました。後日加筆したいと思います。

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2004/06/25

迷いマウス-近頃の講演会場風景から

今年の春から初夏はありとあらゆる学会、NPOの総会、講演会、研究会に出てきました。4月以来15イベント近く。こんなのは生まれて初めてです。

 多くは会場を暗くして、パソコン画面をプロジェクターで投影しています。きょうはそんな会場で目についた風景を書いてみます。

迷いマウス

 たいていの人はプレゼンの投影にMicrosoft PowerPointを使うわけです。パソコン画面をプロジェクターで投影することを「パワーポイントでやる」と言う人も増えていますので、そのうち国研の外来語委員会で問題になるかもしれません。

 さて、最近密かに統計を取っているのが、どうやってスライドショーを始めるかです。
 PowerPointでは、書類を開くと通常の編集画面になります。6割くらいの人は、画面左下にあるアイコン ppticon.gif をクリックしようとします。しかし、このアイコンは非常に小さいので、緊張で手が震えていたり、視力が衰えていたりするとなかなかクリックできません。このアイコンの周りをマウスポインタがさまようのを聴衆に見られてしまいます。おまけに、このアイコンは「現在のスライドからスライドショーを始める」のです。更にはアイコンの直上にはスライドのサムネイル選択ウィンドウがあることが多く、誤ってプレゼンの途中からスライドショーを開始し、アセッテしまうことがままあります。
 残りの人は、画面上のプルダウンメニューから、「スライドショー > 実行」を選んでいます。ここでも隣のメニューを選んでしまったりといったミスを見かけます。
 さて、メニューの「実行」の横に何か書いてありませんか?そう、「F5」と書いてあります。スライドショーはファンクションキーのF5一発で開始できるのです。この春見たPowerPoint使いの皆さまの中で、この手を使って一瞬にスライドショーを始める方は、5パーセントもいなかったように思います。
 実は、もう一つ簡単な方法があります。デスクトップでPowerPointのアイコンを右クリックしてみて下さい。出てきたポップアップメニューの中に、「スライドショー」というのがありますよね。PowerPointに疎い私でも知っているこんなTIPS、お役に立てば幸いです。

 ちなみに、ちょっと洒落た人はプレゼンにPowerPointでなくApple KeyNoteを使います。画面切り替えが美しいですね。私はあまのじゃくですので、できるだけMacromedia Flashでいこうと思っています。技法が稚拙すぎてFlashだとわからないと思いますが。。。

デジカメ使えない族

 迷いマウスはご愛敬ですが、ホントに困るのはこれ。デジカメで映写スクリーンを撮影する人です。撮影が禁止されてなければ撮ること自体はかまわないと思いますが。
 デジカメ使えないけど写真は撮れるという人種が増殖しているようです。ストロボ発光と、フォーカス確認音、シャッター確認音はオフにして下さいね(怒)。下手をするとプレゼン会場が芸能人の記者会見場みたいになっちゃうので、講演に集中できません。

 最近のデジカメは高機能化しているので、暗闇で明るい四角の被写体を撮ろうとするときは、自動的に無音無発光にする機能をつけてくれると助かります。メーカーの方、いかがですか。

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2004/06/15

「手術は成功でしたか?」とはもう聞かないでください

スポーツニュースで「エキスポズ大家投手、右手骨折」(正しくは右手首ですが)というのを見ました。上り調子だったので残念です。気長に復帰を待ちたいと思います。

 このニュースで気になったのが、「大家投手の手術が成功」という見出しです。30年前ならいざ知らず、いまどき手術をして「成功」か「失敗」という時代ではないでしょう。マスコミには「成功」という表現を使うのをやめてほしいものです。
 マスコミ関係でなくても、「手術は成功でしたか?」と医師に聞いて困ったような顔をされた経験をお持ちの方も多いと思います。



現代の医学は進歩している

 現代の医療で、成功か失敗かやってみなければわからないような手術がどのくらいあるでしょうか。たとえば腹部大動脈瘤破裂とか、緊急帝王切開など、1分を争う緊急手術くらいのものだと思います。現代のほとんどの手術は「成功」するまで終わらないのです。
 手術に成功、失敗という言い方が可能だったのは、3,40年以上昔、手術がそれこそ命がけの賭けだった時代のことだと思います。当時は手術の失敗の多くは死を意味していたでしょうし、手術が失敗でも、そのことで医療者を責める人もいなかったでしょう。

今どき「失敗」と言えば「医療ミス」扱いでは?

 それでは、今のご時世、報道記者に対して「手術は失敗でした」などと言おうものならどうなるでしょう。かなりの率の記者が見出しに「○○病院で医療ミスか、手術に失敗」とつけるのではないでしょうか。このような状況ですので、医療者にしてみれば、100の目標に対して80しか達成できずたとえ心の中では失敗だと思っていても、絶対に「失敗」と言えるわけがありません。

手術の成功は直後には判断できない

 例えば、ガンの手術を考えてみましょう。手術の成功が「ガンが治った」ことを意味するのだとすれば、ほんとうにガンが再発せず、成功だったとわかるには5年かかることになります。手術の直後に「成功ですか」と聞いても意味はないのです。

手術に「完全」はない

 私なら、たとえ心の中で「きょうの手術は満点のできだった」と思っていても、「成功しましたか」と聞かれて「ハイッ」と即答はできません。医療に絶対はないと思うからです。ほとんどすべての手術の結果は、成功と失敗の両極端の中間に位置しているのです。
 まあ世の中には胸を張って「もちろん成功ですよ」と即座に言える医師もいるとは思いますが。

結論

 ですから、「手術は成功しましたか」とは聞かないで下さい。「手術はどうでしたか」とか「手術はうまくいきましたか」と聞いてもらえれば、医師が答えに詰まることはないでしょう。

04/06/23追加
 イラクの少年、モハマド君の左眼の手術も「成功」だったようです。失敗するような手術ではなかったとおもいますが、世間の関心が高いだけに、執刀医の先生もちょっと緊張したかも。

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2004/06/12

病院もホテルのような設備がないと負け組か

 私の職場では3年後に建つ予定の新病棟の詳細設計がたけなわになっています。「なんでこの期に及んでそんなことがまだ決まってないの?」と言いたいのを我慢して列席していますが。「最近見学した○○病院は」などと言おうものなら、「あそこはバブルですから」と相手にされません。幸いまだ「米国の○○病院は」とは言わずに済んでいます。

 トイレの数、家族への説明のための部屋や患者情報室や医学生・研修医を指導する部屋の配置など、どの問題を検討しても行き詰まるので、研究会や学会で外に出たときに、いろんな病院や業者の人に「入院患者さんにベッドで映画を見てもらうための仕組みとして、ビデオオンデマンドとDVDレンタル配達のどちらが良いか」意見を聞くことで気を紛らわせています。ベッドサイドに置く端末の業者にいろいろ意見を言ってきたのですが、最新の製品ではかなり実現されてきました。次は「ハイビジョン画質と立体音響ヘッドホン」でも提案してみようかと思っています。。。
 もちろん日本の病院にはもっと本質的なところで議論せねばならない問題が山積しているのはわかるのですが、当面手のつけようがなく……。

 米国でも最新の病院はホテルなみのサービスに拍車がかかっているとか。米国での私の職場もホテルのような特別病棟がありましたが。平均在院日数がほんの数日なのだから、ホテルの設備はいらないのではという気もするのですが、やはりそれでは「負け組」でしょうか(笑)。

 研修医に混じってホテルマンから接遇講習を受けたためか、立て続けの出演依頼をNoと言わずに何でも引き受けているこの頃です。

参考過去記事
Patient SatisfactionからPatient Experienceへ

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2004/06/03

13年前の今日はあの日。

最近は週に一つくらいしか書いてないのですが、もともと一日に2本の記事は書かないで、できるだけ別の日に分けるようにしていました。

でも、今日は2つめを書きます。なぜって、6月3日は私にとっても忘れられない日なので。

島原の長い夜(NIFTY版)

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厚生「労働」省は「厚生」労働省を指導してほしい

当直月10回など過酷勤務、500救急病院にメス

厚生労働省は、多くの救急病院が労働基準法に違反しているため、全国一斉に実態調査だそうです。

このような報道を見ると、いつも違和感が拭えません。

 結局のところ医師を過重労働させているのは「厚生」労働省であって、それを厚生「労働」省がけしからんと言って立ち入り調査や指導や命令を行うわけです。指導は現場の医療機関に対して行われ、自分のところの医政局なんかを指導するわけではないでしょう。現場を巻き込まず、自分たちの省内で解決してほしいものです。

こういうのもマッチポンプと呼ぶのでしょうか。

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