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2008/05/26

死亡時画像診断に「病理」が必要か

下記の海堂尊さんのインタビュー記事を見ていて、また不思議な用語を発見しました。私がAiという呼称に疑問を持っていることは前にも書きましたが、よく考えてみると、その日本語表記「死亡時画像病理診断」にも疑問が湧いてくるのです。

リンク: この国は「死因不明社会」?-医療・介護情報CBニュース-.
   「死亡時画像病理診断(オートプシーイメージング:Ai)は、死因を解明するため、
    遺体に対して画像診断を行う試みです。」

 では、「病因を解明するため、生体に対して画像診断を行うこと」画像病理診断でしょうか? そうは呼びませんよね。普通は「画像診断」です。ではなぜ「病理」がくっつけられているのでしょう?

病理をつける意味

リンク: @search:病理とは での検索結果.

 私の理解も同じでしたが、病理(学)というのは、基本的に(実体のある)標本を元に、病気の原因を究明することです。従来、放射線や内視鏡など、生体から切り取られない状態での観察は病理とは呼ばれていません。病理であるかそうでないかというのは、案外その辺り、生体から切り離された標本を扱うかどうかにあるのかも知れません。
 遺体にはもはや命がないので、標本の範疇という見方もあるのかもしれませんが、そこまで考えての命名ではないでしょう。この解釈は穿ちすぎのようです。

 ひょっとすると、「死亡時画像病理診断」という言葉を考え出された方たちは、「死因を究明すること」という意味を持たせようとした結果、「病理」を加えてしまったのかもしれませんね。

画像診断のみなのか、剖検と組み合わせるのか

 下記も読んでみました。
リンク: オートプシー・イメージング学会 趣旨書.

『死亡時画像病理診断』=『オートプシー・イメージング(Autopsy Imaging = AI)』は、こうした剖検をめぐる諸問題解決のため提示しうる一つの試案である。オートプシー・イメージングとは、死後画像(Postmortem Imaging = PMI)と剖検情報を組み合わせ、死亡時診断のスタンダードを構築し、医学的および社会的な死亡時患者情報の充実を図るための、新しい検査概念である。
 しかし、後段ではPostmortem Imaging = PMIの意味でオートプシー・イメージングを使っているように読み取れる部分があり、ちょっと言葉の意味が矛盾しているように思います。

こちらでは別の表記です。
リンク: 放医研ニュース No.68.
オートプシー・イメージングは「剖検時画像診断」と定義されます。ご遺体に対し破壊的検査である解剖を行う際に、非破壊的検査であるMRI等の画像診断を併用するのです。

結論

 インターネット上のリソースに頼り、出版された書籍で勉強していないので後日言を翻すかもしれませんが、

「死亡時画像病理診断」 は 「死亡時画像診断」 とすべきです。標本の切り出しを伴わないというのがその理由です。

また、Aiやオートプシー・イメージングの概念自体も、解剖との併用を前提とするのか、しないのかを明確にしたり、両者で用語を使い分けたりすべきだと思います。

もちろん、今からvirtual autopsyに改名するのもOKです。
about 2,220 for "Autopsy imaging".
about 48,000 for "virtual autopsy".
about 9,980 for "virtopsy".

参考リンク:
@search:死亡時画像病理診断 での検索結果.

「第1回法医放射線医学国際シンポジウム」に参加して.オートプシー・イメージング学会 Ai 1000字提言 第21回 江澤英史さん

オートプシー・イメージングは、病理診断に画像診断を組み込むことにより、新しい診断クライテリアの構築を目指す。つまり重心は剖検にある。 (中略) グローバルな観点からすると、PMIという用語は時代遅れである。日本が一所懸命PMIと言い続けたとしても、結局いずれは他国で主張された概念に呑み込まれていくことになる。

参考過去記事:
Autopsy imaging (Ai)は世界で通用するのか.

2008/05/29 一部修正/引用部分の追加

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