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2003/12/12

ICTかITか

 ICT(Information & Communication Technologies)はイギリスやヨーロッパでよく使われてる程度と思っていましたが、世界的にかなり使われているんですね。

 ICTはITと違ってit(イット)と間違われない利点もあります。しかし…

 先日、医療情報学の勉強会で、表題にICTという用語を使ったイギリスの論文が取り上げられました。選んだ学者がわざわざ「世間でICTがどのくらい一般的なのか知らないが」と言うので、メンバーに「米国でICTと使うのを見たことがあるか」と聞いたところ、そこにいたニューヨークの医療と情報学の専門家5人のだれもが「見たことがない」との返事でした。米国では「ICTって何?」ということのようです。
 ITは日本でも森前首相の功績により、馴染みのある言葉になっています。

 で、私は当面ITを使おうと思います。これほど一般に広まった用語をくつがえすのは不可能だと思うからです。ICTを使おうとすると、必ずITにCを加えたものだとか、ことによってはITの同義語だとかいう説明が必要になります。

 これで思い出したのは「障害者」です。これも「障碍者」とすべきとの議論があり、私も強く支持しますが、世間的にはこれを覆すことは当分無理だろうと考えています。
http://www.nport.ne.jp/we/katsudou/other/syougai.htm

 また、意地悪な言い方かもしれませんが、ITにはcommunicationだけでなくsecurityが抜けているとかhumanが抜けているとも言えますし、informationのinformには元々伝達の意が含まれているのでCは不要という考え方もできます。

 私は相手がICTを使われる場合はそれに合わせてICTを使います。このような状況下であえてICTを使う日本人の多くは、無意識ではなくCの部分を強調したいという思いがあるようですので、それを勝手にITに書き換えたりすることは控えるべきだと思います。

私もICTが広まれば使いたいなと思います。

2006/04/08 追記
 日本の医療の現場では、ICTはInfection Control Team(院内感染対策チーム)の略としてよく使われているという問題もあります。諸外国ではあまり使われていない言葉のようですが。

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