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2003/12/24

コメントは差し控えたい

 訴訟を起こされたときや、不祥事の際にメディアに載る定番コメントがこの「コメントは差し控えたい」です。通常「訴状を見ていないので」「判決文を見ていないので」「当局が捜査中なので」などの枕詞がつきます。

 載せる報道機関の方も、もう少し何とかならないのでしょうか。そのような答えと決まっている場合は、最後の一文は載せず、別のことに字数を使っては?
 そして、しばらくしてからもう一度取材に行ってほしいと思います。訴状を見た後のコメント、判決文が届いた後のコメントをぜひ聞かせてほしい。

 まあ、コメントが取れるまで待っていたのでは、ニュースの鮮度が落ちるし、コメントだけのフォローアップではニュースバリューがないのはわかります。しかし、今は紙や電波だけがメディアではありません。ネット上ではハイパーリンクが簡単なわけですから、電子版には後追いで掲載ができるでしょう。

 さらに進めて、「差し控えていたコメント」専門のポータルサイトを作ってはいかがでしょう。最近の「差し控えられたコメント」一覧を表示し、その後の追加取材状況と、取れたコメントへのリンクがたどれるような。商売上はうまみがないかもしれませんが、第一線記者の士気は上がるのではないでしょうか。

 もう一つ、「担当者と連絡が取れない」というのもありますね。いまどきの携帯電話の普及率・カバー率を考えると、まさに笑うしかない言い訳です。まともな企業や団体で、肝心なときにキーパーソンと連絡が取れないところなんてあるわけがない。取材する側と受ける側の暗黙の符丁なのでしょうね。
 いや、日本のどこかに「法人向け連絡の取れない駆け込み寺」サービスを提供してる温泉地でもあるのかも(笑)。そういう場合は、取材側から「担当者に渡して」とプリペイド携帯電話(GPS位置情報サービスつき)でも貸し出してあげては?

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2003/12/20

パソコンのキッチンへの進出度を調査してほしい

テレビとパソコンは同じ部屋で利用する傾向―BIGLOBE が調査
だそうです。

また自宅において、テレビとパソコンとは同じ部屋で利用することが多く、 リビングでインターネットを利用する利用者の93.7%は、テレビもリビン グで見ていた。寝室などの場合も同様で、テレビのある場所でインターネッ トを接続する傾向が高かった。

 パソコンが生活の一部になってきたということですね。そこに元々テレビがあったのはあたりまえなわけで。パソコンがリビングに進出してくるのはわかりますが、リビングにテレビを置いていない人って果たして何パーセントいるのかな?

 ちなみに、マンハッタンとつながる橋のたもとの町にある築25年くらいの我が家は、巨大なリビングの片隅にちっちゃな20型テレビがあります。リビングにパソコンを置くと遠くて不便なので、キッチンに大きなテーブルを置いて、そこで親はパソコン、子供は宿題です。
 冷蔵庫にインターネット接続機能をつける試みがあったくらいですので、キッチンにどこまで進出してるかを調査すると面白いと思います。

 私の知る米国のおとうさんたちは、地下に自分の城を持っていて、そこにパソコンというパターンが多いみたいです。

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2003/12/17

電子カルテのASPやデータセンター化は許容されるか

「古瀬幸広のOFFSIDE」Blogバージョンプライバシーの危機・電子カルテ編にコメントしようとしたら字数制限を超えたので、こちらに書きました。
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うーん、そういう感想を持たれましたか。私はこれに関係していませんが、今あるもののなかではこちらを評価しています。まだ発展途上ではありますが。

 まず、患者の同意はもちろん得ています。まあ説明の仕方が難しいとは思いますが。
 最近読んだ米国Health Management Technology誌の記事では、患者が自分のICカードを医療機関に渡す行為自体を自分のデータへのアクセス許諾とすることになっており、別の同意を必要としなくなったとのことです。医療情報を守るHIPPAという法律があり、また娘のレントゲン一枚とってもらうために書類に何か所もサインさせられた米国での話だけに説得力があると思います。

 残念ながら、医療機関の中にとどまる電子カルテの方がセキュリティが断然落ちます。専門知識のある職員配置ができないためです。医療機関に管理を任せたのでは、パスワードを紙に書いてモニタに貼るような人に個人の大事な医療情報を任せる結果になりかねません。
 データセンターで、知識のある職員がきっちり管理すべきです。私はセンターの規模として、市町村か都道府県単位を考えています。電子カルテのセンター保存はまだ条件つきでしか認められていませんが。
 この事業は、古瀬さんが末尾に書かれたように、カルテが医療機関の物だという発想でなく、カルテは患者の物であるという発想を具現化しようという理念を持っています。私も同じ発想で考えています。
電子カルテ雑感2002(京都大学の吉原博幸先生の文章)

 患者側に互換データを持たせようという試みは、15年くらい前からあると思います。光ディスクやICカードを持たせるなど。でも結局バックアップが必要になるので、私はデータはセンターに、キーだけを患者に持たせるという方法を支持しています。それこそケータイにでも。

 みんな、自分の預金口座のデータをデータセンターに預けているのでは。

 カルテを医療機関から患者の手に取り戻すことによって、風邪と診断した上でも抗生物質を闇雲に出す医者と出さない医者があることが患者にわかる。すなわち医療の透明性が向上すると考えています。現状では、ひどい医療機関でひどい医療を受けている事実が、他の医療機関にはわからない仕組みになっているのです。

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2003/12/16

医療事故報告を義務づける対象が狭すぎる

来春から大学病院や国立病院などに義務づける医療事故報告制度についてですが、私は義務づける医療機関の範囲が狭すぎると思います。

 厚生労働省は平成14年10月1日から、病院及び有床診療所に対して医療安全管理体制の確保を義務づけています。
http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/isei/i-anzen/2/kaisei/index.html
 これを念頭に置けば、今回も病院及び有床診療所に対して義務づけたってよいわけです。厚生労働省の部会や委員会の議事録を見ますと、「体制の整っているところから」というわけなんですが、毎月50例のヒヤリハットを報告せよと言っているわけでなく、ごくたまにしか起こらない重大事例や警鐘事例なのですから、特別な体制は不要で、できるだけ多くの施設でスタートした方が効果があると思います。

 穿ちすぎかもしれませんが、これ以上対象範囲を広げると、民間の医療機関も増えてしまうので、報告させた事故が明るみに出ることによって患者が減り、経営に打撃が出ることを懸念しているのかとも思います。これが大学病院や国立病院なら大きな問題にはなりませんので。
 ついさっき見た米国の学術雑誌に、「医療事故の新聞報道後にその病院を受診する患者が減った」という研究結果が載っていました。
 この私の考えが邪推だったと証明されるためにも、早期に対象範囲が広がることを期待したいと思います。

--2003/12/19追加
日本HIS研究会情報「バイブレーション」No.120によれば、民間病院の除外は、2003/7/28に厚生労働省が日本医師会に示した確認書に書いてあるそうです。
こちらにも関連記述。


関連続報
医療事故の定義がぶれてきた?
医療安全対策ネットワーク整備事業(ヒヤリ・ハット事例収集事業)の中身が変わっていた
医療事故報告制度の詳細へのパブリックコメントへの回答
医療事故情報収集等事業はじまる

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2003/12/12

ICTかITか

 ICT(Information & Communication Technologies)はイギリスやヨーロッパでよく使われてる程度と思っていましたが、世界的にかなり使われているんですね。

 ICTはITと違ってit(イット)と間違われない利点もあります。しかし…

 先日、医療情報学の勉強会で、表題にICTという用語を使ったイギリスの論文が取り上げられました。選んだ学者がわざわざ「世間でICTがどのくらい一般的なのか知らないが」と言うので、メンバーに「米国でICTと使うのを見たことがあるか」と聞いたところ、そこにいたニューヨークの医療と情報学の専門家5人のだれもが「見たことがない」との返事でした。米国では「ICTって何?」ということのようです。
 ITは日本でも森前首相の功績により、馴染みのある言葉になっています。

 で、私は当面ITを使おうと思います。これほど一般に広まった用語をくつがえすのは不可能だと思うからです。ICTを使おうとすると、必ずITにCを加えたものだとか、ことによってはITの同義語だとかいう説明が必要になります。

 これで思い出したのは「障害者」です。これも「障碍者」とすべきとの議論があり、私も強く支持しますが、世間的にはこれを覆すことは当分無理だろうと考えています。
http://www.nport.ne.jp/we/katsudou/other/syougai.htm

 また、意地悪な言い方かもしれませんが、ITにはcommunicationだけでなくsecurityが抜けているとかhumanが抜けているとも言えますし、informationのinformには元々伝達の意が含まれているのでCは不要という考え方もできます。

 私は相手がICTを使われる場合はそれに合わせてICTを使います。このような状況下であえてICTを使う日本人の多くは、無意識ではなくCの部分を強調したいという思いがあるようですので、それを勝手にITに書き換えたりすることは控えるべきだと思います。

私もICTが広まれば使いたいなと思います。

2006/04/08 追記
 日本の医療の現場では、ICTはInfection Control Team(院内感染対策チーム)の略としてよく使われているという問題もあります。諸外国ではあまり使われていない言葉のようですが。

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2003/12/10

患者に不安を与える

ちょっと思うところあって、2年くらい前、有名な李 啓充さんの講演を聞いたときのメモから引用します。「患者に不安を与える」というのは注意すべきキーワードだと思います。
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  wrong site surgery(部位取り違え手術)について事例の紹介。これを防ぐため米国では医師が術前訪問時に手術部位にサインせよという勧告が出された。しかし病院によっては「患者に不安を与える」として採用しなかったところもある。しかし、実施した病院では「むしろ患者は面白がっている。医師と患者のコミュニケーションにひと役買った」との評価がでている。
 ここでためになる話。「患者に不安を与える」はよく聞かれる言葉だが、この言葉を使う人の行いは、ほぼ例外なく事故防止に逆行する結果をもたらしているので注意すること。ある病院で朝の与薬を忘れ、夕方に2回分渡したという看護婦がいた。その人に「患者に与薬票を渡しておけば、教えてくれただろうに。あなたを助けてくれただろうに」と言うと、帰ってきたのが「患者に不安を与える」なのだが、本当にそうだろうか。

 もう一つ本講演のハイライト。先の米国の例でも逆の足に「ここは切らないで」と書いたユーモアのある患者がいた。患者が間違った場所を手術されたくない場合は、「ここは切らないで」と体中に書かねばならない。書き忘れるとそこを切られてしまう。この話は小泉八雲の「耳なし芳一」を思い出させるが、耳を切られた住職の言葉が、間違った場所を切った外科医の言葉と見事に符合するのだ。「ああ、なんということをしてしまったのだ。自分で確かめずに耳を小僧に任せたのがいけなかった。今となってはどうすることもできない。傷が治るようにできるだけのことをするしかない。」外科医は自分でインフォームドコンセントを確認せず、術前の消毒などの準備を別のスタッフに任せていたのだった。
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2003/12/06

医療ニッチ

 Googleで、「医療ニッチ」という言葉を入れてみたら、該当無しだったので、Google1位のページ作りが趣味の私としては無視するわけにも行かず、このようにそれをネタにした文章を書いています。

 医療機関の手が回らないきめ細かなサービスを提供する団体が求められています。営利非営利は問いません。一つのニッチをたくさんの地域や医療機関から一手に引き受ければ、事業化できる部分も多いと思います。
 MRIなど画像診断の遠隔読影などは、既にビジネスになっていると思いますが、これはニッチというよりメインストリームに近いかもしれませんね。

 たとえば乳ガンなどで乳房切除を受けた患者さん用の下着を作っておられる会社があります。
ブライトアイズ
http://www.be-japan.com/

 以下は、営利目的の超個人的な理由で(笑)。よろしくお願いします。
医療機関向け説明動画映像配信の(有)インフォメディコ
http://www.info-medico.com/

 いま考えているのは、患者アドボカシーの運営委託を受けてくれるところ。院内職員が対応する患者相談窓口では何かと問題が多いですので。
患者満足向上へ「アドボカシー室」 国内にも導入の動き

○○先生の名言「ニッチでリッチ」をご紹介して、終わりにします。
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アドボカシーの日本語訳をつくろう

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2003/12/05

宅配便不在時転送サービスポータル

 たぶん誰かが特許を持っているかもと思いますが、宅配便の不在時転送サービスポータルってないんでしょうかね。

 長期の旅行などで留守するとき、郵便局に転居届を出しておくと、実家などに郵便物を転送してもらえます。これは大変便利なのですが、最近はメール便などの名前で宅配便業者が書類などを配送します。これに対処する方法がないですよね。郵便受けにたまっちゃう。宅配業者は何社もあるし。

 このポータルに転居先を登録しておけば、それぞれの宅配業者がこれをチェックして、すべて登録先に転送してくれるサービス、有料や従量課金でもいいから欲しいです。

その点でam/pm フルタイムボックスというのは、面白いサービスだと思います。

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2003/12/04

医療事故になりやすい医薬品一覧

 報道等でご存じの方も多いと思いますが、11月27日に厚生労働省の医政局・医薬食品局から都道府県宛に出た通知、「医療機関における医療事故対策の強化について」に、「処方点検や調剤時、病棟への供給時に注意を要する医薬品」が別添されてきました。いずれ医療機関には回ってくると思います。原典は日本病院薬剤師会の以下の資料です。
http://www.jshp.or.jp/031112.pdf

便宜のため転記します。
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1 誤処方による事故、ヒヤリハット報告があった医薬品名の組み合わせ
 ・アマリール,アルマール
 ・サクシン,サクシゾン
 ・タキソール,タキソテール
 ・ノルバスク,ノルバデックス
 ・オーダリングシステム等を採用している医療機関において先頭3文字
  が同一の医薬品

2 名称類似によると思われる調剤エラーや誤投与のヒヤリハット報告が
  複数あったもの
 ・アロテック,アレロック
 ・ウテメリン,メテナリン
 ・テオドール,テグレトール
 ・プレドニン,プルゼニド

3 投与量のチェックを厳しく行うべきもの
 ・タキソール
 ・タキソテール
 ・インスリン製剤
 ・小児におけるアミノフィリン

4 投与方法についての注意喚起(他の医薬品との供給方法の差別化)
  を行うべきもの
 ・カリウム製剤
 ・リドカイン製剤(特にキシロカイン10%)
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 最近話題になってきた医療事故になりやすい薬品をよく網羅してます。意地悪な言い方をすれば、今後もこの薬剤関連で事故を起こすようだと、罪が重いということになると思います。
 たぶん罪を問われるのは医療者で製薬会社でないのが納得できないですね。日本製薬団体連合会にも通知が出てますが、表現は曖昧で「販売名を変えよ」といったものにはなっていません。ついでに、厚労省もこの文書を出したことで一応の責任は果たしたということになるかもしれません。要注意です。


製薬会社は紛らわしい薬剤名を変更すべき

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