医療事故報告を義務づける対象が狭すぎる
来春から大学病院や国立病院などに義務づける医療事故報告制度についてですが、私は義務づける医療機関の範囲が狭すぎると思います。
厚生労働省は平成14年10月1日から、病院及び有床診療所に対して医療安全管理体制の確保を義務づけています。
http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/isei/i-anzen/2/kaisei/index.html
これを念頭に置けば、今回も病院及び有床診療所に対して義務づけたってよいわけです。厚生労働省の部会や委員会の議事録を見ますと、「体制の整っているところから」というわけなんですが、毎月50例のヒヤリハットを報告せよと言っているわけでなく、ごくたまにしか起こらない重大事例や警鐘事例なのですから、特別な体制は不要で、できるだけ多くの施設でスタートした方が効果があると思います。
穿ちすぎかもしれませんが、これ以上対象範囲を広げると、民間の医療機関も増えてしまうので、報告させた事故が明るみに出ることによって患者が減り、経営に打撃が出ることを懸念しているのかとも思います。これが大学病院や国立病院なら大きな問題にはなりませんので。
ついさっき見た米国の学術雑誌に、「医療事故の新聞報道後にその病院を受診する患者が減った」という研究結果が載っていました。
この私の考えが邪推だったと証明されるためにも、早期に対象範囲が広がることを期待したいと思います。
--2003/12/19追加
日本HIS研究会情報「バイブレーション」No.120によれば、民間病院の除外は、2003/7/28に厚生労働省が日本医師会に示した確認書に書いてあるそうです。
こちらにも関連記述。
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