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2004/01/28

絵空事の病院経営(1) 患者満足は職員満足から

 病院の運営について日頃思っていることを書いてみるシリーズの第1回です。シロウトが考えるいきあたりばったりの企画ですので、些事にこだわらず、絵空事と思って気楽にお読み下さい。

「患者本位の医療」への道


 HCRM研究会によると、医療を取り巻くステイクホルダー(利害関係者)としては、以下の10種類が挙げられています。

style="text-align: left; width: 100%;">






















患者 支払者
職員 行政
地域 マスメディア
協同者 医育機関
供給者 病院コンサルタント

 よく言われる患者本位の医療を実現するために、また病院をより良くするために、まず考えるのは患者満足の向上です。しかしどうすればそれが達成できるのでしょうか。よく揶揄される「付け焼き刃の『患者様』呼称」といった小手先対策でないことは確かです。ここでは、単に患者満足のみを高めようとするのではなく、これら全体の満足度を向上させることが鍵となります。

 余談ですが、「患者様」を初めて聞いたのは1990年頃、医療法人鉄蕉会の亀田理事長の講演を聴いたときです。最初は戸惑ったもののすぐに不自然に感じなくなりました。信念に裏打ちされた呼称であれば、呼び方も板についているのだろうと思いました。

患者満足は職員満足から

 この言葉は講演等で聞いたことがあったのですが、Googleで検索すると、こちら(
ホスピタルマネジメント研究会第11回勉強会記録誌)しかありませんでした。株式会社エクスアンティ 永田雅章氏の講演のタイトルです。

 患者満足度を高めながら質の良い医療を提供するためにまず取り組まねばならないのは、職員満足度の向上です。病院には医師、看護師をはじめたくさんの職種が働いています。更に職員の不満と言っても多岐にわたります。やりがいがない、雑用に追われる、残業が多い、医学研究の時間が欲しいなど。。。

 これに対してはITを利用した業務改善により、仕事にゆとりを作り出せればと思います。だらだらと残業せず、さっさと仕事をすませて早く帰り、自分の時間が持てるようにする。給料を払う方も残業手当が減る。病院現場でのITの生かし方については後日詳しく書いてみたいと思います。
 つぎに、職員の向上心を醸成する活動等が考えられます。ニューヨークのマウントサイナイでは、職員表彰というイベントを実にうまく使っているように感じました。組織を越えたTQM活動なども、医療の質の向上にも役立つためぜひ取り入れたいところです。

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2004/01/22

米国一般教書演説から、医療に関係する部分を日本語訳

2004年1月20日におこなわれた、アメリカ合衆国、ブッシュ大統領の一般教書演説から、医療に関係する部分を和訳してみました。誤訳等ありましたらお教え下さい。原文はこちら(State of the Union Address )


 我が国の医療システムも、経済と同じように変わるべき時を迎えています。医療技術は驚くべき進歩を続け、命を救っています。しかしこの劇的な進歩は、医療費と健康保険の高騰という自身に内包する問題ももたらしてきました。議会と我々は、これらの費用を制御するのを助け、現代医学の恩恵を我が国にあまねくもたらすため、共に努力せねばならないのであります。

 これらの目標を達成するためには超党派の努力が必要ですが、二ヶ月前にその道は見えました。議員の皆さんはメディケアの強化と処方薬費用の給付で、高齢者に対する重要な公約を守りました。皆さんは彼らが受ける権利のある現代的医療をもたらしつつあるのです。

 通していただいた法の下で、今年から高齢者はほとんどの処方薬が10%から25%引きになる割引カードを選ぶことができます。そしてたくさんの低所得高齢者は薬代としてさらに$600を受け取ることができるようになります。来年からは、糖尿病と心臓病の予防検査の給付が新たに受けられる予定です。メディケアに入る高齢者はそれだけで健康診断を受けることができるのであります。

 2006年の1月に、高齢者は処方薬の給付をメディケアでカバーされるようになります。月に約$35の保険料で、今日給付を受けていない高齢者のほとんどは薬の請求書がおよそ半額になります。この改革で高齢者はそのメディケアをそのままにすることもできますし、メディケアのプランが自分に合うように選ぶこともできます。ちょうどみなさんが自分のニーズに合った保険を組めるのと同じです。そして今年から、数多くの国民が保健貯蓄口座を使うことで医療費を免税にできるのです。

 私はこの法案に誇りを持って署名しました。高齢者の選択を狭めたりメディケアでの処方薬の給付を奪う企みには、拒否権を行使します。

 医療の重大な問題として、我々の目標は、国民がそれぞれのニーズに合う民間健康保険を選んで入れるようにすることであります。保険をより手の届く値段にするため、議会は高騰する医療費対策に取り組まねばなりません。より多くの労働者が健康保険に入れるように、中小企業は結束して安い保険料にするよう交渉できるようにすべきです。業界団体健康保険法を早く通してくれることを求めます。たくさんの国民が基本的な医療保険を買えるよう、低所得の国民に税金の払い戻しを与えるようにお願いします。

 医療の記録のコンピュータ化によって、危険な医療ミスを避け、コストを抑え、よりよいケアができます。医師と患者の関係を守り、良い医師が良い仕事をできるようにするため、我々は無益でくだらない医療訴訟はなくさねばならなりません。そして今夜私は、ろくでもない医療保険を買っている人々に、我々の新しい保健貯蓄口座で、保険料の100%が税金から控除できることをお知らせしたいと思います。

 国営の医療システムはまちがった処方箋であります。医療費を制御し、医療の窓口を広げ、保険を買える国民を増やすことで、我々は米国の医療を世界一にしている民間の医療システムを守っていきたいと思います。


……このあと演説は子供たちの問題に続いていきます。
2003年の一般教書演説(米国大使館の和訳) 医療に関してはあまり変わらないような気も…
2002年の一般教書演説(米国大使館の和訳)

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2004/01/17

Patient SatisfactionからPatient Experienceへ

Patient Experienceとは何か? / 米国の急性期病院数が25年以上ぶりに増加

 こちらの医学部の図書館に通って、病院関係のものを中心にいろんな雑誌を見ています。Modern Healthcare誌の最新号には、2002年の全米の一般の急性期病院数が、この厳しいご時世にもかかわらず、この25年で初めて増加したとの記事が載っていました。
 しかし他のタイプの病院数とトータルのベッド数は前年比で減少しています。住宅地に近くて便利な場所に小規模の病院の新設や分院の設置が増えているとの分析がありました。
 最近の医療費統計を見てもHospital Feeのみが伸びているとのことです。また在院日数の短縮と外来へのシフトにようやく歯止めがかかり、ベッドが不足してきて、 高齢者人口も増加してきます。建設しないと生き残れないという事情もあるようです。
 さらには目の肥えた患者の需要も一因とのこと。「Patient Experience」が最近のはやり言葉なのだそうです。

 Hospitals and Health Networks誌には、医療の質を測る手段としてPatient SatisfactionからPatient Experienceに変わってきているという特集がありました。

 Patient SatisfactionからPatient Experienceになると、このように変わるんだそうです。

満足したかどうか → どのように?
たいへんよい、よい → いつも、しばしば
加点。10点満点 → 減点。0点が最高
「Patient Experienceの8つの指標」というのもありました。
Access to care - ケアへのアクセスの容易さ
Coordination of care - 検査の待ち時間などケアの連携
Information and education - 情報提供と教育
Physical Comfort - 身体的快適さ
Continuity and transition to home - ケアの継続性と帰宅指導
Emotional support - 精神面のサポート
Involvement of Family and Friends - 家族や友人の参加
Respect for Patient Preferences - 患者の好みの尊重
 これは、NRC+Pickerグループによる指標らしいのですが、PickerといえばPicker Commonwealth Programです。あれはたしか7つだったような。。。調べてみたら、一番最初の「アクセス」が加わったようです。
佐倉病院図書室通信(後ろの方に「ペイシェンツ・アイズ:患者中心の医療・介護をすすめる七つの視点」の紹介があります)
 別の雑誌には、小さなニッチ病院が増えているのはメディケア関連の連邦法の抜け穴を利用した利益目当てのトレンドだと書いてありました。日本も今後病院数が減ってくると思いますが、いつまでどこまで減るのでょうね。

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2004/01/15

インターウェイ…この名前が欲しかった方いらっしゃいますか

たまには肩の凝らない話を。

 12月3日に私のココログのURLを決めるとき、ろくに考えずにまず思いついたのがこの「inter.way」というパターンでした。古いNiftyユーザーなら思い出のある名前かもと思ったもので。

 というわけで、同じ名前を試してみたら私に先取りされていたという方からのコメント、トラックバックを歓迎します。「自分なら次にどんな名前を考えただろうか」という参考にしたいとも思いますので。

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2004/01/14

小児救急での電話相談体制-あの64億円はどうなった?

夜間・休日の救急ダイヤル創設 厚労省、子供の急病に助言という報道がありました。全国共通の短縮番号 「#××××」 、に電話すると地元の小児科医が相談に乗ってくれるというわけです。番号は今月中に決まるとのことでした。

 昨年の今頃、補正予算で小児救急遠隔医療補助事業という話題があって、小児救急とテレパソロジー(遠隔病理診断)という首をかしげざるを得ない組み合わせに戸惑ったのを思い出します。そんなものでなく、別の使い方があるだろうにと思いました。もちろんその場限りの補正予算なので「小児科医を増やす」といった人件費というわけにはいかないんですけど。

 で、今年出てきたのが電話相談体制。半額補助で予算は5億円とも聞きました。これでは電話交換機の設定代にしかならないのでは? 相談にあたる小児科医については「地域の皆さんで努力してくれ」というわけでしょう。人件費が出せないようでは、効果があるのか怪しいと思うのですが。。。

●遠隔医療の流れ
小児救急支援で補助金 厚労省 遠隔通信機器導入に総額64億円
小児救急医療NWの全国整備へ遠隔医療機器の購入を補助/04年度から厚労省
結局、小児救急遠隔医療補助事業の結果はぱっとしなかったようです。予算は64億円も使われなかったのでしょう。

●電話相談の流れ
広島の小児救急 専門医が電話ガイド
医療ルネサンス 小児救急・電話相談で受診判断
厚生労働省 平成16年度概算要求主要事項

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2004/01/10

銀色の車に乗ると交通事故で死亡や重傷になりにくい?

 12月に古瀬幸広さんのOFFSIDE blog「シルバーが安全」でこのニュースを見たとき、「車体がシルバーの車は最も安全」というのはどうも信じ難いと思っていましたが、年が明けてまた報道されたので、ついに原典であるBMJ誌を読んでみました。読者のコメントも読めます。

 まず気づくのは、統計的には有意でないのですが、シルバーが少ないだけでなく、交通事故グループは対照の倍も黄色の車が多いのです。黄色の車に乗る人はアグレッシブな運転をするためかと思います。こっちは納得です。

 また表にはグレーという色があります。車の色でシルバーとグレーって似ていませんか? 両方をひとくくりにすると、結果は出なかったかも。

 個人的には、銀色の車は高級車が多くて事故でケガをしにくいとか、銀色の車を買う人は慎重な運転をするとか、銀色は目立ちにくいので早めにライトをつける人が多いとか、いろいろ理屈を考えています。
 この論文ではエンジンの大きさは調べていますが、車の価格や衝突安全度などは検討されていません。

 日本でも、1995年のデータですが、自動車保険データに見る交通事故の実態VOL.5というのがあります。Web上の情報によりますと、赤・緑・黒・黄があぶないような気がします。例えばこんな感じ。


物損事故(車)
・塗色ごとに、事故類型別の車両損傷台数構成割合を見ると、自車の場合、「茶系」「黄系」で車両単独事故の割合が高い。相手車の場合、「赤系」「緑系」で正面衝突の構成割合がやや高く、「緑系」「黄系」で追突の割合が高い。
・塗色ごとに、事故類型別に車両の平均物的損失額を見ると、「正面衝突」では自車の場合「黒系」が最も高く、相手車両の場合「赤系」が最も高いなど、事故類型により特徴が現れる。

最近は調査してないようなので、また調べて欲しいですね。

2005/9/21 追記 この記事にだけ海外から変なコメントがつくので、コメント禁止にしました。コメントはメールで。

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2004/01/08

手術のビデオを患者に提供すること

2003年12月24日に出された厚生労働大臣医療事故対策緊急アピールの「施設を軸とした施策」に、「手術のビデオなどの画像記録を患者に提供することによって、手術室の透明性の向上を図る」というのがありました。

 これは他の項目と比べても、違和感を禁じ得ません。医療事故防止対策といえるのでしょうか。ビデオを患者に提供するのは「隠蔽工作防止対策」だと思います。
 ビデオに撮ることで事故が防止できるとは思えません。コンビニに防犯カメラをつけると万引きは減ると思いますが、まさか同じ発想ではないですよね?

 いまどきのビデオは編集も簡単なので、本物であることを証明するのが困難だと思います。生中継なら良いかもしれません。厚生労働省の方で研究されるのみで、実現はしないと思います。

 ビデオを撮って患者に提供できる仕組み自体は良いと思います。眼科などではサービスでやっている医療機関もありますし。通常の医療機関では保険点数加算でも無いと無理でしょうが。
 録画を検討して事故につながりかねない操作をチェックし、事故防止に役立てることもできるかもしれません。「この腹腔鏡の入れ方は腸を傷つけやすい」とか。

 従来の手術室内の隠蔽のいくつかは、側で見ていた医師や看護職などの良心によって暴かれてきたことと思います。医療の透明性の確保は「施設」からではなく「人」を通じて行うべきだと考えます。


2003/1/27 以下にトラックバックを追加しました。こんな試みがあるんですね。
手術ミスを防ぐためにネットの力を貸してください

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2004/01/03

アウトソーシングの反対語は?

 Googleで反対語を検索すると、熟語の回文を蒐集した”「反対語」サイト”が最初に来たので、別の表現も使っておきましょう。アウトソーシングの反意語(アウトソースの対義語)は?

ことの発端

 私の職場は、2003年6月に自前のIT部門のアウトソーシングとディザスタ・リカバリシステムの構築において、380ミリオンという巨額の契約をIBMと結びました(もちろんドルです)。2か月ほどして、顔なじみの職員の名札にIBMのマークがついていてびっくりしたものです。
 11月になって、その転籍した職員たちをなんと元どおり再雇用するというのです。詳細は分かりませんが、IBMの方が投げ出したというのが最もわかりやすい推測です。それについて、こちらの友人が「インソーシングというか何というか」と言っていたので、アウトソーシングの出戻りを何というか気になってきたわけです。

外注を受けること

 アウトソーシング(outsourcing)というのは、日本語にすると外注や外部委託というわけですが、登場人物としては外注元と外注先の二者があります。外注先から見ると、外注の反対は受託になるわけで、英語にするとcommissionとかconsignmentとかundertaking?でしょうか。これという言葉がないですね。

外注をやめること

 一方、外注元から見た場合が複雑です。いったんおこなった外注をやめて元どおりという事態は、意外にありそうなんですが、良い言葉が見あたりません。この言葉をさがそうというのが、この文章の目的です。

インソーシングという言葉はあるのか

 アウトソーシングの反対語としてまず思いつくのは、インソーシングです。こちらの友人も言ってましたし。
 googleで日本語の「インソーシング」を検索すると、245件しかありません。アウトソーシングは30万以上ですから、一般に認められた言葉とは言えないでしょう。「インソーシングとは」を検索しても明確な答えは得られません。例を挙げるとつぎのとおりです。

UFJ総合研究所芸術・文化政策センターのニューズレター「ARTS POLICY & MANAGEMENT」では、インソーシングを「自前で実施」と説明しています。文面を見ると、外注しないで自前でやることとなっています。
しかし、HDIジャパンのHDI国際スタンダードによりますと、インソーシングとは社内の遊休人材の有効活用という感じがします。

 やはり、インソーシングという日本語は定着していないとみるべきでしょう。

 一方、英語でinsourcingを検索してみると、その語義は、「受託」でまちがいないように思います。今後はおそらく日本でも、insourcingは受託の意味として使われるようになるでしょう。

答えは身内に?

 ということで、イントラネットのIT部門再就職案内ページで、再雇用される職員のFAQという文書を見つけました。読んでみると、reinstatementと書いてあります。日本語にすると復権・復帰・復職で、核心をついているようです。しかしよく考えると、これは人間に対して使う言葉です。私のところの例にはこれでふさわしいのですが、一般にアウトソーシングするのは業務であって人間ではありません。ちょっと違うかなという印象を持ちました。
 引いていた辞書のreinstatementのすぐ近くに、reinstallationという言葉がありました(reinstallmentというのもありますが同義)。再就任とか再設置という意味です。OSの再インストールなどという言葉でなんとなくおなじみですね。IT分野で多く使われるアウトソーシングだけに、少し身近な気もします。

結論

 ということで毎度すぐ結論に来ちゃいますが、外注をやめて自前に戻すという意味でのアウトソーシングの反対語は、リインストレーション(reinstallation)です。
 読者の皆さまのコメントをお待ちしています。ユビキタス日本語化計画に続くヒットとなるか??

2004/1/14 一部修正しました。
Great Moments at Workの日本語訳をつくろう
アドボカシーの日本語訳をつくろう
ユビキタスの日本語訳をつくろう
機種依存文字のルーツ
04 Apr.14追記
言葉は生き物ですねぇ。大統領選挙とのからみかもしれませんが、最近の海外サイトでは、オフショア・アウトソーシングの反対語としてインソーシングという言葉を使うところが増えたような気がします。"Insourcing is the movement of foreign jobs to the United States."「国内への回帰」でしょうか。
2004/10/31追記
コメントに書きましたが、「自前で実施」の意味でのアウトソーシングの反対語はインハウスが良いように思います。

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2004/01/01

メーリングリストネチケット(MLのエチケット)

またちょっと思うところがあって、テストをかねて従来サイトのコンテンツの転載です。
                                   2002/10/16-2003/10/9


 最近、私のような古くからのマニア(笑)だけでなく、一般の人もメーリングリスト(以下MLと略します)を使うようになりました。そこで、古くからのネットワーカー(この言葉も古い!)が何となく身に付けてきたであろうエチケットを、メーリングリスト向けに絞ってまとめてみようと思い立ちました。1年近くリンクを列記したのみで工事中でしたが、ついに形にすることができました。

 以下の内容は、末尾のリンクを参考にまとめたものですので、多くは私のオリジナルではありません。総説ということですので、矛盾する内容は両論併記としたつもりです。また、これだけ集めてみると堅苦しく思えてきますが、もちろんこれをすべて守ることを強要するものではありません。私自身も守れていない項目もあります。特に★マークは私の持論ですので、異論のあるところだと思います。まあ「ML作法山野辺流」というところです。気に入ったところのみお使い下さい。
 あと、エチケット以前の違法行為などについては、ここではほとんど触れていません。


1.基本テクニックや設定

  • 一行は30から36文字程度で改行する。
  • 段落頭に字下げや空改行を挿入して見やすいメッセージにする。
    …とはいえ、全文を一行空けて書くと嫌われるようです。
  • 半角カナ文字は使わない。
  • 機種依存文字は使わない。……まあこれは「お約束」ということで(笑)。
  • HTMLメールは送らない。テキスト形式になるよう、メールソフトを設定する。
  • メールソフトの自動改行挿入機能は使わない。★(詳細後述)
  • 題名はメールの内容がわかるものにする。「どなたか教えてください」は悪い例の代表。
  • 題名はそのMLの規則に則ってつける。
    …昔は日本語の題名は読めない人がいるので避けようと言われていましたが、最近は逆の事も言われています。英語の件名のついたウィルスメールが多いためです。
  • メッセージ内に署名を必ずつける。
  • 署名は短めにする。…4行以内という意見もあります。
  • 署名をつけ忘れたからといって署名だけの送信はしない。

  • 長期間読めないときは脱退や一時配信停止を考慮する。
  • テストのためのメールを送らない。
    …送るのだったら、ついでに自己紹介をつけましょう。さらには読み手が興味を持ってくれるような話題提供もつけましょう。こうすることで、もはや無意味なテストメールとは誰も呼ばないでしょう。
  • 配達証明、不着時情報、休暇中自動応答などの機能は使わない。

2.送る文章の種類や体裁

■基本■ 自分が他人にしてもらいたいことを、他人にもするように心がける。
  • 他人の電話番号などプライバシーに関わる事項、秘密を漏らさない。
  • 他人からの私信を許可無くMLに転送しない。
  • メーリングリストの投稿内容を許可無く外に転送しない。
    …一部の公的メーリングリストなど例外はあり得ると思いますが。
  • 私信のつもりでMLに返信しないよう留意する。
  • もし私信をMLに流してしまったら、お詫びを送る。
  • MLの抜け方の質問や一時配信停止依頼などはML本体に送らない。管理者に送る。
  • MLのメールが送られてこないトラブルの質問などを当のMLに送らない。1日は待つ。
  • 巨大なメールを送らない。…100行が目安との意見もあります。
  • 添付ファイルも原則的に禁止。
  • デマ、チェーンメールを転送する事でこれらに加担しない。
  • クロスポスト(複数のMLへの同報)には謝罪をつける。
  • 文字による図を作るときは、フォントによっては正しく表示されないので注意する。

  • 主題を先に書く。
    …最初を読んで興味がなければ読み飛ばしてもらえるように。
  • 引用は短めに。
    …私自身は原則として引用はしないことを勧めています。★

  • 広告は嫌われることもあるので注意する。
  • イベント告知も嫌われることがあるので注意する。
    …たいていは嫌う方に問題があるようですが。★

  • ひとつのメールで、かけ離れた複数の話題を扱わない。
  • 行頭の#は、コメントや独り言、本題に関係ない余談を表している事が多いので、あまりこだわらないようにする。
  • 質問にたくさんの回答をもらったときは後で要約を投稿する。

  • 初心者へは寛容に。注意はできるだけ私信で。
  • 自分に厳しく、他には優しく。相手にマナーを要求しない。
    …「ネチケット違反を指摘する文章はえてしてネチケット違反の典型である」との言葉もあります。「誤字脱字の指摘のみというメールは最低」との意見もありました。

  • MLの目的に反するメッセージは避ける。
    …MLによっては規制しすぎるのも良くないかもしれませんが。
  • 招かれていない私的メーリングリストにメールを送らない。

3.送る文章の内容

  • 多くの読者に読まれる文章であることに留意する。
  • 文章が保管され、後からの参加者にも読まれる可能性があることに留意する。
  • 書かれている内容は多くの場合個人の意見であり、属する組織の意見でない事に留意する。

  • 元の話題から脱線しないように心がける。
  • 脱線するときは新規の話題として投稿するか改題する。★
  • 改題するときは、元の話題がわかるように一部を残す。★(詳細後述)

  • 論争時は相手の人格でなく内容に議論を集中するよう心がける。
  • 送信前に、面と向かって言える内容かどうか、明快な文章になっているか確かめる。
  • MLは自分を中心に回っているわけではない。答えが来ること、すぐ来ることを期待しない。

  • 意見が一致しない時は、個人宛メールで相手と議論し、後で要約を流すとよい。
  • (逆に)ML上の問題はMLで解決すべきで、個人宛メールを使うのは良くない。
    …私は後者を支持します。★

  • 感情的論争や喧嘩(フレームとも言う)に巻き込まれない。
  • 火のつきやすい話題も避ける。
    …MLの性格によりますが、宗教と政治はその例と言われています。

  • 言わずもがなの返信をしない(御意とか私も一票とか相槌だけのメールなど)。
  • 映画や本のネタばらしをするときは、冒頭でその旨警告する。何行か空行を入れるのも良い。
  • 読み手を楽しませるメールを書こう。ジョークのひとつも入れる。
  • とはいえ、見境のないジョークは嫌われる。

4.メーリングリストに特有の問題

  • 参加後すぐに発言せず、まずは数日間読んでみてそのMLの雰囲気を知る。
    …1,2か月と書いている人もありますが、長すぎでは。

  • ROM(Read Only Member,読むだけで発言しない人)を批判しない。★
    …「読んでいるはずなのに黙っているのは卑怯だ」など。

  • 個人の指名(召喚とも言う)はしない。ただしMLの管理者やその話題の過去の参加者などは例外。★
    …「この問題は○○さんが詳しいと思うが、いかが?」「ここには○○省の□□さんもいるはずだが、どうお考えか?」など。

  • 引用は原則としてしないことが望ましい。★(詳細後述)

  • (^0^)/~などの顔文字は視覚障碍者には理解しにくい事を頭に入れておく。★
  • 利用者の行為に対して管理者を非難しない。
  • 善意の管理者を責めない。★
  • 新しい話題を他のメッセージの返信として送らない。
    …スレッド表示をするメールソフトで表示が乱れるためです。

5.管理者の心得(管理者の世界は厳しいですネ)

  • 指針を明文化しておく。

  • 要望はすみやかに処理する。一日以内が理想的。
  • 旅行などで留守をして、管理できないときは代理を立てる。

  • チェーンメールなどは特に早く対処する。
  • 利用者への苦情はなりすましも考え慎重に調査する。
  • 管理者アドレスへの投稿を必ず読むようにする。幽霊アドレスにしない。

  • FAQ(良くある質問と答え)を定期的にMLに流すようにする。

6.★マークの解説

この部分は特に私の持論の押しつけに近い部分ですが、その一部について解説します。興味のある方は参考にして下さい。
  • メールソフトの自動改行機能は使わない
     これは、私が主に使うメールソフトがその機能を持たないことに起因します。確かに便利な機能ですが、問題もあります。まず、引用するときに「>」などの記号を付加する事が多いですが、そうすると一行の文字数が増えてしまいます。これを自動改行すると、あふれた1,2文字が次の行に送られ、大変に見にくいメッセージになってしまいます。この処理の多くは送信時に行われるため、予見しにくいのも問題です。
     次に、自動改行せずに35文字くらいで改行を手動で挿入するようにすると、その作業の段階で誤字や脱字を発見できたり、文章の推敲ができるという効用があります。文字数を数えるための私の工夫を紹介します。私は日本語IMEに読み「をを」で「あいうえおかきくけこさしすせそたちつてとなにぬねのはひふへほまみむめも」を登録しておき、行頭でこれを入力して目安にしています。

  • メーリングリストでは原則として引用はしない
     これは以下への反省に基づいています。
    • 引用の中に自分の意見を紛れ込ませると、見落とされることがある。 揚げ足取りと誤解されやすい。部分引用になりやすい。 文章の構成力が育ちにくい。
    • 部分引用は誤解・不毛な喧嘩のもと。
    • 長々と>で引用したあと、「激しく同意!」の一言では読み手は不快。
    • 改行を自動挿入するメールソフトでは引用部分の表示が乱れることがある。引用のための >で行内文字数を増やすとなおさらこれが起きやすい。
    • 無用の引用により配信サイズが増え、視覚障碍者など音声でメールを読む人に迷惑をかける。ネットワークが混雑する。
    とはいえ、全く引用しないのも難しいので、私は「>>>>>」で区切って末尾にまとめて引用するとか、「>」を行頭につけない、あまりに長いときは(中略山野辺)などと断って省略するなどの配慮をしています。配信の多いメーリングリストでは、返信のきっかけになったメールを以下のように明示することもあります。
     例 >>> ○○さんの[hogeML:001372] への返信です >>>

  • 以前書いたいまどきメールの引用はまだ必要かも参考になれば幸いです。
  • 改題するときは、元の話題がわかるように一部を残す
     これも私のメールソフトがスレッド表示をしないことに起因します。改題自体は表題と中身がかけ離れるを防ぐためにお勧めしたいと思いますが、「A」という題名からいきなり「B」に改題されると、それ以前の話の流れをさかのぼれなくなります。また、「不用意な改題は最初の話題の提供者に失礼だ」との意見もありますので、注意すべきでしょう。改題するなら「B-A」とか「A-B」とか元の題を残すべきと考えます。

資料編

リンクを見ると、けっこう古いものが多いですね。1996とか。
http://www.cgh.ed.jp/netiquette/(リンク集としてはこれですが?)
http://www.cgh.ed.jp/netiquette/hituji/neti3hon.html
 (読み物としてお勧め)
http://www.kt.rim.or.jp/~atsato/beginer/index.html
 (長文お勧め)
ネチケット千夜一夜(http://www.big.or.jp/~roadist/netiquette/)の第14夜 議論のページに、「何のために議論する」という項目があり、大変参考になりましたので、特に記します。
http://www2.ktarn.or.jp/~toy/netiquette/
 (メーリングリストに限らなければ、こちらもお勧め)
http://www.iajapan.org/rule/
 (こちらもメーリングリストに限らなければ。良く整理されてます)
http://www.stylishlife.com/00mail/ml-netiketto.html
http://village.infoweb.ne.jp/~biyou/MLnetiketto.htm
http://www.oita-nhs.ac.jp/ML/netiquete.html
http://www.j-naos.net/ml.htm
http://www.ipc.hokusei.ac.jp/center/netiquette.html
http://home.highway.ne.jp/flower/netiquette/index.htm
http://www.ippo.ne.jp/netiquette/mail/05ml/
http://www.geocities.co.jp/SilkRoad-Ocean/2103/reply.html
http://www.edu.ipa.go.jp/kyouiku/internet/maillist/maillist.html
「こんなのもあるよ」というご意見はyamnobe@netscape.netまでメールをお寄せ下されば幸いです。

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米国で生活しているとBSE騒ぎの実感が少ない

 狂牛病は正式にはBovine Spongiform Encephalopathy (BSE)というのですが、ふつうはMad Cow Diseaseと呼ばれてます。

 家では通常ラジオを流しているのですが、先日JapanやSouth Koreaと連呼しているので耳を傾けてみると、輸入禁止措置の話でした。BSEの第一報はこれで知ったという感じです。

 新聞は週末しかとっていないので、街角で売っている一面や地下鉄で他の乗客が読んでいるのを見ていると、さほどの大騒ぎではないようです。きょうの一面にはFDAがエフェドラを禁止したニュースが踊っていました。

 スーパーにも昨夜行きましたが、肉売り場に変化はありません。職場である病院外来部門でも、(あたりまえですが)SARS注意のポスター以外は見ません。病院のカフェテリアでもメインディッシュに牛肉メニューがありました。

 こちらで牛肉無しは考えられないし、問題となったのはカナダから来た牛のようだし、普通に食べる肉は問題ないという説明ですので、国民の生活はまだ変わりないと思います。
 日本では吉野家が牛丼を出さなくなるかもというニュースを見ましたが、米国内の吉野家の店がどうなるかは興味深いですね。

 ただ、牛肉や一部飼料穀物の相場は暴落しています。CDCのサイトでは、BSEの見出しはインフルエンザの次に書いてあり、SARSより上に来ています。

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