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2004/01/03

アウトソーシングの反対語は?

 Googleで反対語を検索すると、熟語の回文を蒐集した”「反対語」サイト”が最初に来たので、別の表現も使っておきましょう。アウトソーシングの反意語(アウトソースの対義語)は?

ことの発端

 私の職場は、2003年6月に自前のIT部門のアウトソーシングとディザスタ・リカバリシステムの構築において、380ミリオンという巨額の契約をIBMと結びました(もちろんドルです)。2か月ほどして、顔なじみの職員の名札にIBMのマークがついていてびっくりしたものです。
 11月になって、その転籍した職員たちをなんと元どおり再雇用するというのです。詳細は分かりませんが、IBMの方が投げ出したというのが最もわかりやすい推測です。それについて、こちらの友人が「インソーシングというか何というか」と言っていたので、アウトソーシングの出戻りを何というか気になってきたわけです。

外注を受けること

 アウトソーシング(outsourcing)というのは、日本語にすると外注や外部委託というわけですが、登場人物としては外注元と外注先の二者があります。外注先から見ると、外注の反対は受託になるわけで、英語にするとcommissionとかconsignmentとかundertaking?でしょうか。これという言葉がないですね。

外注をやめること

 一方、外注元から見た場合が複雑です。いったんおこなった外注をやめて元どおりという事態は、意外にありそうなんですが、良い言葉が見あたりません。この言葉をさがそうというのが、この文章の目的です。

インソーシングという言葉はあるのか

 アウトソーシングの反対語としてまず思いつくのは、インソーシングです。こちらの友人も言ってましたし。
 googleで日本語の「インソーシング」を検索すると、245件しかありません。アウトソーシングは30万以上ですから、一般に認められた言葉とは言えないでしょう。「インソーシングとは」を検索しても明確な答えは得られません。例を挙げるとつぎのとおりです。

UFJ総合研究所芸術・文化政策センターのニューズレター「ARTS POLICY & MANAGEMENT」では、インソーシングを「自前で実施」と説明しています。文面を見ると、外注しないで自前でやることとなっています。
しかし、HDIジャパンのHDI国際スタンダードによりますと、インソーシングとは社内の遊休人材の有効活用という感じがします。

 やはり、インソーシングという日本語は定着していないとみるべきでしょう。

 一方、英語でinsourcingを検索してみると、その語義は、「受託」でまちがいないように思います。今後はおそらく日本でも、insourcingは受託の意味として使われるようになるでしょう。

答えは身内に?

 ということで、イントラネットのIT部門再就職案内ページで、再雇用される職員のFAQという文書を見つけました。読んでみると、reinstatementと書いてあります。日本語にすると復権・復帰・復職で、核心をついているようです。しかしよく考えると、これは人間に対して使う言葉です。私のところの例にはこれでふさわしいのですが、一般にアウトソーシングするのは業務であって人間ではありません。ちょっと違うかなという印象を持ちました。
 引いていた辞書のreinstatementのすぐ近くに、reinstallationという言葉がありました(reinstallmentというのもありますが同義)。再就任とか再設置という意味です。OSの再インストールなどという言葉でなんとなくおなじみですね。IT分野で多く使われるアウトソーシングだけに、少し身近な気もします。

結論

 ということで毎度すぐ結論に来ちゃいますが、外注をやめて自前に戻すという意味でのアウトソーシングの反対語は、リインストレーション(reinstallation)です。
 読者の皆さまのコメントをお待ちしています。ユビキタス日本語化計画に続くヒットとなるか??

2004/1/14 一部修正しました。
Great Moments at Workの日本語訳をつくろう
アドボカシーの日本語訳をつくろう
ユビキタスの日本語訳をつくろう
機種依存文字のルーツ
04 Apr.14追記
言葉は生き物ですねぇ。大統領選挙とのからみかもしれませんが、最近の海外サイトでは、オフショア・アウトソーシングの反対語としてインソーシングという言葉を使うところが増えたような気がします。"Insourcing is the movement of foreign jobs to the United States."「国内への回帰」でしょうか。
2004/10/31追記
コメントに書きましたが、「自前で実施」の意味でのアウトソーシングの反対語はインハウスが良いように思います。

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コメント

こんにちは。お久しぶりです。
outsourceの反対は、in-houseであるというのはちょっと違うでしょうか?oursource vs. in-house
という風にとある病院関係の方がおっしゃっていました。
しかし「インハウス」というのは日本語としては全く定着していませんね。
in-houseというのはちょっとくだけた感じなのかもしれません。見当違いでしたら申し訳ありません。

投稿: Hosokawa | 2004/04/23 22:53

お忙しいところ、ようこそいらっしゃいました。
 「自前で実施」のうまい英訳を知らなかったのですが、in-houseだったのですね。今回の文章は「外注の出戻り」について考えていますが、やはり読者(いるのか?)の期待は「自前で実施」の方にあるでしょうから、「自前で実施」の意味でのアウトソーシングの反対語はインソーシングよりもインハウスが良いように思います。「アウトソーシング インハウス」をググッてみても536件と悪くない数字ですね。

投稿: ynb | 2004/04/24 00:03

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