手術のビデオを患者に提供すること
2003年12月24日に出された厚生労働大臣医療事故対策緊急アピールの「施設を軸とした施策」に、「手術のビデオなどの画像記録を患者に提供することによって、手術室の透明性の向上を図る」というのがありました。
これは他の項目と比べても、違和感を禁じ得ません。医療事故防止対策といえるのでしょうか。ビデオを患者に提供するのは「隠蔽工作防止対策」だと思います。
ビデオに撮ることで事故が防止できるとは思えません。コンビニに防犯カメラをつけると万引きは減ると思いますが、まさか同じ発想ではないですよね?
いまどきのビデオは編集も簡単なので、本物であることを証明するのが困難だと思います。生中継なら良いかもしれません。厚生労働省の方で研究されるのみで、実現はしないと思います。
ビデオを撮って患者に提供できる仕組み自体は良いと思います。眼科などではサービスでやっている医療機関もありますし。通常の医療機関では保険点数加算でも無いと無理でしょうが。
録画を検討して事故につながりかねない操作をチェックし、事故防止に役立てることもできるかもしれません。「この腹腔鏡の入れ方は腸を傷つけやすい」とか。
従来の手術室内の隠蔽のいくつかは、側で見ていた医師や看護職などの良心によって暴かれてきたことと思います。医療の透明性の確保は「施設」からではなく「人」を通じて行うべきだと考えます。
2003/1/27 以下にトラックバックを追加しました。こんな試みがあるんですね。
手術ミスを防ぐためにネットの力を貸してください
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