ストレージ管理とインフルエンザワクチン不足
日経コンピュータという雑誌の1月26日号で、ストレージの統合管理やILM(情報ライフサイクル管理)が今後重要だという記事をみました。
急拡大するストレージ需要に対応するさまざまな技術が紹介されていましたが、そのひとつが仮想化です。複数のストレージを統合して一体化したように見せる技術で、これを使えば、未使用部分を有効に使えます。
パソコンレベルの話にたとえてみると、今どきのパソコンではハードディスクの残りが300メガバイトなどというのはもう危険水域です。ディスクの増設か本体を買い換えるかというところでしょう。この300MBの空き領域を使い切ることはできないわけです。でもこれを10台合わせれば3GBで、まだまだ使えますものね。
それで思い出したのが、今シーズンのインフルエンザワクチン。一部の医療機関が抱え込んでいたワクチンが何万本も返品されているとの報道があります。
しかし、
・今シーズンの供給量は、昨シーズンの消費量より4割多い約1480万本ということなら、情報システムのストレージに持たせるべき余裕に比べれば、返品1%以下なんて上出来、むしろワクチン不足の深刻さを物語るということでは。 ある新聞は「有効に使われれば20万人以上が接種できた計算になり」なんて書いていますが、計算上、2960万に20万が加わっても焼け石に水でしょう。皮肉なことにビジネスの世界ではこんな綱渡りはとうてい許されません。ストレージの空きが0.5%しかない状態なんて。答えは一つ、容量を増やすこと。
・全体の0.5%が返品…2割近くが返品された昨シーズンより大幅に少ない
季節商品ですのでこのように無償返品できる仕組みにも問題なしとはしませんが、国民の命に関わるワクチンなんですから、希望者全員に行き渡るまでじゃぶじゃぶ供給するのが本筋のように思います。厚労省は「こんなに返品が」という意図で発表し、報道もそれを鵜呑みにしてるようですが、本当は「これだけしか返品が出なかった」ことをお詫びすべき内容では。
でも厚生労働省はよくやった方だと思います。「2月以降の返品を禁じる」という措置は、在庫放出にかなりの効果があったようですので。たくさん余った翌年に生産を4割増やすのにも勇気が必要だったでしょうし。
今回は供給量を少なく見積もりすぎた人の責任を問う報道はありませんでしたが、以前のこんな報道を見つけました。
不足のインフルエンザワクチン 一部病院に偏在? 国の需要予測も甘く(西日本新聞)
2月10日付閣議後記者会見では、厚生労働大臣が今年のワクチン需要見通しは誤っていなかったとの見解を述べています。食いついた記者さん、偉い。
インフルエンザワクチンの返品 病院が抱えこみ-他では聞けないくすりのはなし(近年の返品率の表あり)
それにしても、もうメガバイト単価が1セントとかで、単位もギガバイトあたりにしなくちゃいけなくなりそうですね。
1000台規模の端末を専任管理者なしで扱わねばならない立場としては、他にも日立とNTTが進めるiSCSIによるディスクレスパソコンとか、HPのブレードPCとか、興味津々です。「大病院のパソコンをシンクライアントに」という意見を出して3年近くたちますが、日本ではなかなか医療分野の事例が出てきませんねぇ。当地の病院では"Citrix"は普通名詞のように使われてますけど。
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