最近のゲーム機コントローラーの人間工学的な考察
日本に帰ってきて、やりかけだったゲームキューブのとあるゲームをようやく仕上げることができ、そのコントローラの優位性にあらためて気づかされましたので、現在のゲームコンソール用コントローラの操作性についてちょっとまとめてみました。日本では大学で研究できるテーマとして認めてはくれないでしょうね…。
プレイステーション用デュアルショックコントローラ
握ったときの親指の自然な位置は方向ボタンと主要4ボタンの上にあり、アナログスティックが扱いにくい位置にあります。これは後からスティックを追加したわけですから仕方ないところです。しかしその基本設計の古さを考えると、現在のコントローラーの備えるべき条件をすべて満たした金字塔的な製品。「スティックを倒すだけでなく上から押す」という動作を発明した点も大きいと思います。
XBOX用コントローラS
XBOXのコントローラは、ソニーより手になじむという点ではよいのですが、何と言っても右親指の担当するボタンが多すぎます。手前にある白と黒のボタンを意図しないで押してしまうアクシデントに良く遭遇しました。
左親指の位置はアナログスティックと方向ボタンの中間にあり、どちらも無理なく使えるようになっている反面、中途半端とも言えます。
なお、北米発売時のXBOXコントローラーは現在の物より巨大だったのですが、現在は北米でもこの小さなコントローラーしか売っていないようです。当時「日本人は欧米人に比べて手の大きさが小さい」なんてウソだと思っていましたが、やっぱり。
ゲームキューブ用コントローラ
私が現在のベストだと思うのはこちら。ファミコン以来の伝統である十字キーを押しのけ、左親指の位置にアナログスティックを配しました。右親指は大きなAボタンに置くことができ、かつその状態で右親指が他のボタンに触れないという誤操作を防止する設計になっています。古来、大抵のゲームで多用するのはジョイスティックと2ボタンであるという事実を忠実に具現化したデザインだと言えます。前モデルであるニンテンドウ64のコントローラと比較すると、その進歩ぶりがよくわかると思います。
また、ソニーでは人差し指に2つのボタンを担当させますが、それをアナログ操作のできる一つのボタンにまとめ、強弱二段階のクリックを設定することで同等以上の機能を達成したアイデアは秀逸です。
以下はその他の特殊なコントローラについて、思いついた範囲で。
ドリームキャスト用コントローラ
登場はソニーのDualShockの後になります。この形状は手の大きさの違う大人と子供でもうまく握れるように作ってあるのではと思います。その割にはアナログスティックが左親指から遠い、右手のボタンが小さすぎという問題があります。まあこれは子供でも2つのボタンを同時に押しやすいという利点にも繋がるので、一概に欠点とは言えませんが。
ただ、ミニゲームのできる液晶画面付きメモリモジュールをコントローラに内蔵というアイデアは野心的でした。対戦野球ゲームでのピッチャーの球種選択など、このコントローラーならではの用途があったはずです。結局液晶付き連携デバイスとしてブレイクしたのは後から登場したソニーのポケットステーションでした。これはコントローラ一体型ではありませんでしたが。
XBOX版「鉄騎」専用コントローラ
これはいろんな意味で脱帽でした。よくやるよというのが正直な感想。
マラカスコントローラ
これは2台持っています。医学分野でも「楽しく運動負荷、楽しくリハビリ」という面で注目に値します。立ったままで空間での操作を可能とした点は、他のコントローラと一線を画したと言えるでしょう。ペットへの影響まで考慮されているあたりがさすが。
参考
ハイテクキッズ・エッセイ~ようこそ僕らの電脳空間へ
第20回 コントローラは素敵なデバイス(入力装置)
キーボードを備えたコントローラ
その1 その2
ファミコンのコントローラいろいろ
| 固定リンク | 0
コメント
拙作コラムを参考にされたとのこと、とてもうれしいです。ありがとうございます。
任天堂の新しいゲーム機「レボリューション」のコントローラが左右分離型?というニュースはご存じでしょうか。
それで以前書いたコラムのタイトルで Google 先生にきいたところ、こちらを発見しました。
投稿: なみかわ | 2005/09/20 11:11
コメントありがとうございました。Nintendo Revolutionのコントローラーは知らなかったので見てきました。
振ったり指したりするのにはよいですが、もはやあの十字ボタンはキャラクタ操作用ではなく、携帯電話みたいな選択専用なのでしょうね。……そう考えると、携帯電話の4方向ボタンにも改良の余地が大いにあるように思えてきました。
投稿: ynb | 2005/09/26 12:35