さようならPowerPoint-Flashでひと味違うプレゼンを
先週末に講演会で米国のお話しをさせていただきました。講演といえばマイクロソフトのパワーポイントでのプレゼンという人がほとんどだと思います。私は最近これを脱却して、Macromedia Flashですませられるようになりました。
学会で見たMacromedia Directorでのプレゼンテーションに憧れたのが始まりでした。Flash5からさわり始め、2002年の秋にDreamcastによるFlashプレゼンをデビューさせました。しかし作成作業効率の点でまだLotus FreelanceやMicrosoft PowerPointには及びませんでした。今年になって購入した最新版のFlash Professionalにはスライド作成機能がついたので、これを使えばほぼパワーポイント並に使えるようになりました。といってもまだ全機能の1,2割しか使えてない印象ですが。
5月には、まだ習熟が不足なため急ぎのものを2つほどパワーポイントでやりましたが、6月以降はFlash一本でいけるようになり、今月末で7つめです。PowerPointと比較した利点を簡単にまとめます。
○そのままインターネットで公開できる 何といってもそのままWebブラウザで見ることができ、機種依存性も少ないのが利点です。私はFlash上で「パブリッシュ」をかけると、Webサーバに直接htmlと独立実行ファイルができるように設定しています。コンテンツ公開用のURLを発表の1,2日前の夜などに開くと作成途上版が見えるので、直前のドタバタぶりを時々刻々見ていただけます(笑)。
PowerPointでもいろんなツールを使うとできないことはないのですが、互換性確保などめんどくさいです。
○PowerPointが要らない 独立実行形式で作ることができるので、プレゼン用パソコンにPowerPointが要りません。従来は持参用ノートパソコンにPowerPointのインストールが必要でした。会場に備え付けのパソコンは通常PowerPoint導入済みですが、不用意にそれを使うとバージョンの違いによる文字欠け等の問題があります。PowerPointを使われるみなさんには、このように先方にPowerPointがインストール済みであっても、持参のPowerPoint Viewerを使って再生することをお勧めします。
○拡大 これは8月に覚えた技ですが、提示中に画面の拡大ができます。
よく字の小さな図表をそのまま貼り付けて顰蹙を買う人がいます。それを避けるため、従来は内容を整理して大きな字で作り直したりして手間がかかっていました。
Flashなら、そのまま貼り付けておいて発表中に必要部分を2倍、4倍と拡大することができますので、小さな図表もそのまま貼り付け、現場拡大で誤魔化せます。これができると準備がぐっと楽です。うまく作れば拡大しても字にはギザギザなし。パワーポイントに慣れた聴衆をびっくりさせることができるわけです。
○時計を入れる 今回からの試みです。画面右上に秒表示付きの時計を入れてみました。これで発表しながら常に時間をチェックでき、手元の時計を気にする必要がありません。スクリプトをいじれば加算や減算タイマーにもできます。PowerPointではよほどのことがないとできない芸当だと思います。
元々アニメーションソフトみたいなものですので、視覚効果の秒単位制御はお手のものです。私は現在秒12コマで作っています。一応しゃべりに合わせて画面切り替えを調節していますが、「一段落しゃべり終わると次が現れる」というのを本番でピタリと決めるのは容易ではないです。むしろ音声を吹き込んでそれに表示を合わせれば楽かもしれません。
すると口演は全自動で、発表者の出番は質疑応答のみということもできます。「発表者の本人確認が必要になる」という笑い話も出てました。
○その他 私はできませんが、世の中のWebデザイナがやっているようなあらゆる技巧ももちろん使えるはずです。QuickTime動画とWindows Media動画を並べて再生させるといったことも、プラグインの有無を気にせず可能です。まだチュートリアルのパクリの域を出ませんが、実際に動かせるGUI部品を組み込んだりしています。
×欠点 アウトラインプロセサ機能や配付資料印刷は弱いです。PowerPointでは青背景に白文字のスライドを印刷すると白地に黒文字になりますが、Flashではたぶんできないので、画面を複製して黒文字にしています。
問題は価格です。Flash Professionalは88,200円。私は教員なのでこれを含んだStudio MX(126,000円)のエデュケーション版を36,750円で購入できました。
2006/09/14追記 最近では白黒印刷はせず、次の手順で配付資料を作っています。各画面をキャプチャーしてFireWorksに貼り付け、画面数だけのファイルをPNG保存、それをJPEGに変換して、Windows上で「写真の印刷ウィザード」を起動。「定期券サイズのプリント」を選び、A4に9画面を印刷します。ファイル名の付け方や印刷時のファイル選択法にちょっとコツが要るのと、並び方が右から左になりますが、慣れれば苦にならなくなりました。
講演後の懇親会で「『Flashによるプレゼンテーション技法』という本が出せるよ」とおだてられました。もし身近でそのような企画がありましたらお声をおかけ下さい(笑)。
今回はコアな聴衆でなかったため中身を一般向けにしたのと、時間がなかったので、Dreamcastでのプレゼンはお見せできませんでした。DreamcastはFlash3だし、限られたメモリとCPUパワーに画像やサウンドを詰め込む工夫が要ります。これが8ビット時代のプログラミングみたいで面白いんですが。
2004/9/21追加
Room661さんからトラックバックをいただいたので、サンプルを公開しました。チュートリアルそのままで恥ずかしいですが。
2008/9/21 関連記事 さようならPowerPoint(2)Xboxでハイビジョン画質のプレゼンを
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コメント
サンプル公開ありがとうございます。
なるほど、[F11]キーでブラウザを最大化すればもうプレゼンツールそのものですね。ベクターデータのグラフを作成して貼り付けておけば、拡大機能を有効に利用できそうですねー。
投稿: Room661 | 2004/09/22 00:16
はじめまして。私も教員の一人なのですが,最近校内外の研究会でのパワーポイントでのプレゼンに辟易してて,Flashはプレゼンに使えないのだろうか,漠然と思っていたところにこちらのサイトに出会い,感動してしまいました。ついでに安く購入できることにも感動してしまいました(知りませんでした…)。私もこれから勉強していきたいと思います。
投稿: tachy | 2004/10/23 22:37
コメントありがとうございます。今、週末返上でプレゼン制作中です。せっぱ詰まると技巧どころではない(笑)。
最近のFlash Conference 2004では次世代版もアナウンスされたようですが、私もさりげなく、嫌味のない、玄人受けするようなプレゼンが作れるよう、少しずつでも努力したいものです。
投稿: ynb | 2004/10/23 23:03
macromedia Breezeってご存知ですか。
僕はトライアル版を活用したことがあるのですが、
かなりインタラクティブなプレゼンができる可能性があります。
Flashとpowerpointをブラウザのflashplayerで動作させるスグレモノです。
ただお金ない人にはちょっとつらいな…
投稿: karasu | 2004/11/04 22:18
Breeze。トラックバックいただいたRoom661さんのページで紹介があっていましたが、改めて見てみました。個人的には来年度、教育に少し注力する必要がありそうなので、ツールとして検討の余地がありそうです。ありがとうございました。
投稿: ynb | 2004/11/06 02:42
うわ。間違ってローカルのブログから TrackBack してしまいました。すみません。
投稿: toshiya | 2005/05/07 01:04
toshiyaさま、ご注目ありがとうございました。ローカルへのTrackBackは、消しておきました。
投稿: ynb | 2005/05/09 09:25