Pay per Readの時代へ
こんな記事を教えてもらいました。
リンク: 雑誌の衰退には不吉な予感がする:ITpro.
私も雑誌の栄枯盛衰を見るのは大好きなのですが、だいたいこれを載せている日経BP自体も自分で自社の雑誌の首を締めているようなものです。
雑誌の衰退は、Webを探せばどこかに載っていそうな付加価値がさほど高くない情報を多く載せてきたからではないかと思っています。ヒトは「よそでは読めない」情報を求めるもの。1冊の雑誌をすべて読む人は多くないわけで、読みたい記事やコラムがある程度決まっています。他の部分は個人にとっては無駄なんですが、出版社はその分を広告収入で補っていたわけでしょう。今や金融危機で広告が取れなくなり、その分の値上げができないとなれば、休刊に追い込まれるわけです。
もっと重要なのは、人間が1日に使える時間は決まっていること、つまり「ヒトの時空間リソースの壁」(copyright © by www.tomoya.com)だと思います。読者が読むことに使える時間は限られているので、Web閲覧が伸びればどこかの紙媒体がしわ寄せを食っているわけです。
これからは、「なくなるもの」と「なくならないもの」を見極める必要がありそうです。たぶん本屋はなくならない。新聞社も(広告減でページも減でしょうけど)。学校と病院と床屋もなくならない。しかし広告代理店は?民放は? ということです。そういう目で見ると、Amazonはなくならないが、Googleは危ない側なんです。
映像や音楽の世界では、広告に頼らないビジネスが確立しています。iTunesなどの音楽配信サービスは、一曲ごとにバラ売りしています。映像もPay per Viewというのがあり、これらがいつの時代でも一番堅いのだと思います。すると、テキストもコラム一本単位でばら売りし、読者は読んだ分だけ払う、Pay per Readの時代がやってくるのではないでしょうか。
雑誌がWebに転身して成功するには、次のような取り組みが必要だと思います。
- 売れる情報は無料でWebに載せない
- 広告に頼る無料会員登録はやめて、有料にする
- コラム一本単位で読める、少額のPay per Readの仕組みを導入する。
おまけ1
ここまで書いて、Pay per Readとシェアテキストの違いが気になってきました。試用版というか試読版の有無ということなのでしょうか。
そういえば「投げ銭システム」推進準備委員会を読んでいて、古瀬幸広さんが「シェアテキスト」という言葉を提唱されたことを思い出しました。
ソフトの場合は、使い続ける性質があって、何度でも使うことになるわけだが、テキストの場合、一度読んだら、何度も読むということはあまりない。したがって、読み終わったら用済みとなってしまう。用が済んでしまった後ではたしてお金を払ってもらえるようにできるのか、というのが大問題シェアテキストは、「気に入ったらお金を払う」ということみたいですが、やはりビジネスにはならないですね。Share300はシェアテキストでなく、ペイパーリードだったことを今知りました。。
興味深いのは、雑誌は中身を確認してから買える点で、むしろシェアテキストに近い性質を持っているということです。Pay per Readには中身を見ないで買わなくてはいけないという欠点があるので、試読版の存在が重要かも知れません。
少し古くなったPay per Readを格安で読める、ペイ・パー・リード図書館というのも出てくるかもしれませんね。
おまけ2
ペイ・パー・リードと日本語表記にすると、"Pay per Lead"、誘導して報酬を受け取る、いわゆるアフィリエイトのことだったんですね。知りませんでした。しまった、こんなことまで書くと、スパムコメントやトラックバックスパムがじゃんじゃんやってくるかも。。。
2008/10/31 訂正
古瀬幸弘さん→古瀬幸広さん
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