カリスマ医師とのご縁(2)山本康仁先生とPC1211
私はどうも山本康仁先生の講演と縁がなく、6月の長崎でも事務局仕事が長引き、会場入りしたときには講演終了間近で聞けずじまいでした。今度こそと臨んだ昨日のJ-SUMMITSの見学会も家庭の事情で30分遅刻しましたが、システム紹介の部分と、Apple Storeカンファレンスでの話は存分に聞くことができました。
Apple Storeで司会の吉田先生が"He is a real genius."と紹介されていました。すでに論文やWebサイトで私もそのように理解していたのですが、講演を聴きながら「我々と全く別世界の存在というわけではないのかも」という感じがしてきたのです。山本先生の使う手法のひとつは、「FileMakerの弱点の回避を極限まで推し進めて別の境地に至る」といったものですが、私にも似たような経験がありました。例えば「フィールド名をデフォルト値保管場所に使う」とか「複数フィールド値を文字列結合してグローバルフィールドに一時保管する」といったことです。そこで質疑応答の時間にその思考法について尋ねてみたのですが、お答えの中にあったのがPC-1211だったのです。
リンク: medical macintosh: profile.
あぁ、それで理由がわかりました。私にもPC-1211の限られた1424ステップを極限まで生かして、宇宙船の着陸ゲームや軍艦の砲雷戦ゲームを作った経験があるからです。既に1422ステップ使っているプログラムに思考アルゴリズムをひとつ追加しようとするわけです。その過程で一つのサブルーチンを途中から呼び出して多重に利用するなど、一般には禁じ手のテクニックも編み出していました。
私が一言だけでひとかどの人物だと判断するキーワードとして「親指シフト」につづく第2の単語「PC-1211」が生まれた瞬間でした。「天才」山本康仁先生も少しだけ身近な存在に感じられました。
リンク: 「きりぃ」 > ごたまぜなべ > 親指シフトという職能へのあこがれ.
逆に親指シフトを使う物書きには、何はさておき一目置くことにしている。「親指シフトですね?」
「あたりまえです」これだけの会話で、2人のパソコン談義は終わる。親指シフトの職人は、みんな「あたりまえです」と返答する。この他愛もないような答えに込められた万感の思いは、コンピュータを使って日本語を紡ぐ仕事に自らを置いた人間でなければわかるまいと思う。親指シフトを使うあなたはわかるだろう。
出典:MacPower 1994/9 p300 「それは世間によくある話」 Copyright アスキー
「PC-1211をお使いでしたか」……それ以上の言葉は不要。あぁ、そこには万感の思いが……
おまけ
PC-1211でやったこととして思い出すのは、消費カロリー計算のための運動記録です。
たぶん衛生学の宿題レポートだったと思いますが、PC-1211にドットインパクトプリンタを装着したものを、朝起きてから夜寝るまでずっと持ち歩き、「今何をしてるか」について「1:歩いている、2:座っている、3:食べている、4:電車内で立っている、5:階段を登っている」など予め決めたステータスをリアルタイムに入力し、その都度ドットインパクトプリンタに時刻と状態を印字させました。PC-1211にはそれをストアするメモリもないわけですから、あとからプリントアウトを電卓で集計しました。秒単位で正確に行動を記録するので、素晴らしいデータが得られました。ロール紙を垂らしたプリンタつきのポケコンを一日中持ち歩く大学生を想像してみて下さい。まさに絵に描いたようなオタクです(当時はまだ一般化した言葉ではなかったと思いますが)。
当時はPC-1500と4色プロッタも持っていたと思いますが、重量とバッテリ駆動時間の点で1211を選んだように思います。
リンク: ダイエット 消費カロリー計算 運動記録 オンラインダイエット診断d-sp.net.
今なら携帯電話とtwitterあたりで実現するのでしょうけど、25年前ですからね。。。今にして思えば大学院で論文が書けるくらいの研究だったかも……と思います。
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