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2009/12/18

電子カルテも3原則はやめて4原則にしよう

以前、このような文章を書きました。

元記事(2005/08/04): 真正性、見読性、保存性…医療と世間の3要件.

医療情報システムの世界で3条件といえば、真正性、見読性、保存性なわけですが、一般の情報セキュリティの世界では3要素といえば、機密性、完全性、可用性となっています。CIAとも言うみたいですね。(機密性=Confidentiality、完全性=Integrity、可用性=Availability)

 でも、真正性も英語にするとIntegrityなわけです。Authenticityとも?

 言ってることは同じようなものですので、医療も世間に合わせてCIAにすることは出来ないのでしょうか。

 e-文書法では、見読性、完全性、機密性、検索性の4つになってますね。

どれかに統一しません?

最近、J-SUMMITS(日本ユーザーメード医療IT研究会)のメーリングリストで皆さんの意見を読ませていただきました。更にきょういろいろと考えていたら、やはり「電子カルテの三原則」は四原則にしたほうが整理しやすいことに気づきました。

今回提唱する電子カルテの4原則は、e-文書法の「文書の電磁的保存に関する4要件」にあわせて、次の4つにしましょう。


  • 見読性(Visibility)

  • 完全性(Integrity)

  • 機密性(Confidentiality)

  • 検索性(Availability)

最近考えていることは、次のようなことです。先人もよくおっしゃっていることですが。。。


  1. 診療情報の入力はファイルメーカーでもなんでも、ユーザーの好きなツールで入力する。EUC(End User Computing)も積極的に取り入れる。

  2. 入力データはレガシーHISに送り、見読性・完全性・機密性を確保する。

  3. 入力データは同時に後利用システムのEDR(Enterprise Data Repository)にも送り、検索性を確保する。

 重要な点は、レガシーHISには検索性を求めないということです。しかし最近思うのは、ある程度の構造を保持していれば、あとから手間さえかければParse(解読・構文解析)して再構成することができるということです。もちろん構造の記録を残したり、不可視色XMLタグといったものを使えば完全に元に戻せます。ですから、極端に言えば(お金がなければ)3つめは無しでも良いということになります。もちろん入力ツールがファイルメーカーなら、その部分の検索性は確保できますし。
 われわれの病院情報システム(HIS)でも、この1と3を少しずつ強化できる仕組みが整ってきました。2の自動化はまだまだです。HISの基幹構成も、EMR-CPOE(日常運用)、PACS-ECM(画像と文書の見読性確保)、EDR(テキストと数値の検索性確保)という3本柱構成が固まってきました。こちらの歯車は回り出しそうな気配なので、そろそろまたレガシーHISの基礎固めに戻ろうと思っています。

おまけ
 なぜ私がCDR(Clinical Data Repository)のかわりにEDR(Enterprise Data Repository)を使うかというと、ITをICTと呼ぶのが嫌いなのと同根です。「患者のデータはCDRに保存しているのでいつでも見られます」という話を聞いて、「CDR1枚にデータが入りきるのですか?」と誤解する人が出るからです。ただ、EDRというとBluetoothの世界の「Enhanced Data Rate(EDR)」と誤解される可能性はありますが、分野が違いすぎるので大丈夫かなと思っています。

おまけ2
 不可視色XMLタグ(invisible XML tag)というのは、まさか私の発明ではないと思いますが、あまり見かけないような気がするので補足します。こんなものです。
<姓>日商岩井</姓> <名>二郎</名>
上の一行をコピー&ペーストしてみてください。

参考過去記事 狭義電子カルテの部門システム化.

2010/02/19 追記
e-文書法の4要件の原典として、文書の電磁的保存等に関する検討委員会の、文書の電磁的保存等に関する検討委員会報告書-文書の電子化の促進に向けて-へのリンクを追加します。

続報
1999年の「診療録等の電子媒体による保存について」は2005年に廃止された


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