紙の書籍を自分で電子化することは自炊でなくと自裁と呼ぼう

久しぶりに声高に提起したいテーマを見つけました。この手の話題だとつい文章に力が入りますがご容赦下さい（笑）。

紙の本や雑誌を自分で電子化することを、「自炊」と呼ぶのは間違いの元です。今からでも遅くはありません。これからは「自裁」と呼ぶようにしませんか。

　世の中では、紙の雑誌を自分で裁断し、電子化して扱うことを「自炊」と呼ぶ人が増えています。この語源については今後引き続き調査したいと思いますが、もともと「自分でご飯を炊く」転じて「自分で食事を作る」というれっきとした意味が固まっている言葉に、わざわざ別の意味を持たせようとするのは、いかにも無理があります。
　もとはネット掲示板などで、仲間うちのスラングから始まったのかも知れませんが、きちんと社会で通用する言葉にしようとするなら、既存の用語に注意（敬意）を払うべきだと思います。若者同士でさえ、「最近自炊は続けてる？」と尋ねても「どっちの意味の自炊だ？」と確認しないと会話が成り立ちません。適切な言い換え語を考える必要があります。

　紙の本を「自分で裁断」して電子化するのですから、「自裁」と呼んだ方がすっきりしませんか？まぁなかにはブックスキャナで裁断なしに取り込む方法もあるようですが、そこは眼をつぶりましょう。

既存の「自裁」との関係

　ここまで読んでおかしいと思った方もおいででしょう。「自裁」には「自ら生命を絶つこと、自決、自殺」という意味だと辞書に載っているのです。私も途中でこのことに気づきましたが、２つ理由で推進を続けたいと思います。１つめは、自ら手に入れた紙の媒体の命を自ら絶って電子化しているという、なんとなく相通ずる感じがすること、２つめは、歴史上はともかく、今後はこの忌まわしい概念を埋もれさせてしまいたいという希望からです。
　「自炊」という熟語に間違った意味を追加するのは良くないと思うのですが、「自裁」という熟語に別の意味を持たせてしまい、辞書の表記を変えさせたいとも思いました。今の辞書（広辞苑第六版）を見ると、

自裁　自ら生命を絶つこと。自決。

などとなっているのですが、今回自裁に新たな意味を広めることで、将来の辞書をこのように書き換えたいのです。

自裁　(1)紙の書籍を自分で裁断して電子化すること。(2)[旧]古くは自ら生命を絶つことを意味する自決の同義語としても用いられた。

　そうしないと、この熟語は単独の意味を持ったまま永く辞書に残り続けるでしょう。そのような壮大な陰謀も含めて、私は紙の書籍の電子化を「自裁」と呼ぶ運動を開始したいと思います。
　まぁ、手垢のついていない用語を作った方がよいのは確かなので、もうしばらくの間は、自裁に代わる言い換え語を検討していきたいとも思っています。

自炊の語源についての考察

語源については紙媒体の電子化を「自炊」と呼ぶ事について思う事（はてな匿名ダイアリー）に言及があります。知りませんでした。ありがとうございました。また、炊くという言葉について（本の虫さん）では、自分で炊き出しをすることに由来するという説などが紹介されています。

　もうひとつ面白いことに気づいたのですが、「炊」という漢字を辞書で引くと「焚」の項目に誘導されたりします。当然ながら、この漢字は焚書（ふんしょ）を連想させ、「現代の焚書はこんな手段で行なわれるようになったか」などと感慨深いところがあります。もちろん、紙書籍の電子化自体を批判するものではありませんが、その違法利用が紙書籍の命を縮める結果となれば、文字通り現代の焚書となってしまうかもしれません。

参考リンク: 「電子書籍「自炊」完全マニュアル」最新記事一覧 - ITmedia Keywords.