新医療IT用語辞典のイラストのこと
月刊新医療という雑誌で、「新医療IT用語辞典」という連載企画を続けさせてもらっています。なんとか2年目を迎えることができました。
同じテーマがかぶらないように、いちおうネタ帳みたいなものを作って、今後の企画案や小ネタ、発表済みの用語やおまけの中身を整理しています。毎号変わるイラストについても、月によってはデザイナーの方に無理を言って私のアイデアを絵にしてもらっています。さきごろ、その記録を取っていないことに気づいたので、忘れないうちに書き留めるついでに、新春特別企画として公開することにしました。
2010年1月号 電子カルテ 素養
記念すべき第一回は、本からwordsという文字が飛び出してくるというもので、編集長とデザイナーさんのアイデアみたいです。
2010年2月号 EMR,EHR,PHR ICTかITか
EとMとRとPとHが書いてあるサイコロというのが原案だったと思いますが、出来上がりは、紙のサイコロを切り開いて展開したら、文字が飛び出して跳ね回っている……といった感じになりました。
2010年3月号 クラウド・コンピューティング みんなの意見は案外正しい
これは雲の上にコンピュータが乗っているような物をイメージしたのですが、文中で「虚像の巨象」という表現を使ったところ、雲の中にぞうさんの形をした気球が飛んでいるような絵になりました。
2010年4月号 粒度 プライバシー
ずばり、「コーヒーカップに巨大な角砂糖を入れようとしてつっかえている図」となりました。
2010年5月号 電子カルテの3原則 パラダイムシフト
「机の上に手提金庫があって、その手前に虫眼鏡、聴診器、打腱器、ミニノートパソコンが手前半分を取り囲むように並んでいて、中身を調べるのにどれを使おうかな?」 というメモが残されていますが、今読んでみると自分でも意味不明です。出来上がりは額帯鏡、聴診器、打腱器がきれいにまとまっています。
2010年6月号 仮想化 iPadの発音、マルタイとモウブル
iPadやKindleなど電子書籍リーダがブームになったのを逆手にとって「飛び出す絵本からiPhoneやパソコンが飛び出している」というものです。こんな絵本が実際にあったらいいなと思います。
2010年7月号 見える化 手術は成功しました
「北極星の見つけ方として、北斗七星のひしゃくの先の星を結んで5倍に伸ばすというのがあります。スクリーンに映写された縦軸と横軸のあるグラフの中で、折れ線グラフが北斗七星の形をしています。ひしゃくの先から矢印つきの破線が伸び、その矢印の先は窓の外の北極星に届いている……」というのが原案ですが、美しい仕上がりとなりました。
2010年8月号 データウェアハウス 都市鉱山
これは「無限に延びる倉庫」をイメージしたところ、蛇や列車にも見える仕上がりになりました。
2010年9月号 個人情報 改正省エネ法
「モザイクがかかって顔が識別できないWanted!のポスター」です。なんだか実在しそうな気がして面白いです。
2010年10月号 DPC データカリキュレータ
「屋根に太陽電池パネルがあって光を受けているのですが、その先から延びた電線の先にはその光源である電球がある……タコが自分の脚を食べている……空にむかって大砲を撃っている……」というイメージだったのですが、可愛いヘビになりました。
2010年11月号 CIO 専任と専従
「真ん中にCIOが揃いかけているスロットマシン」です。ただ、Iの字が上に止まるとSIR(SIeR)、下に止まるとDIYとなる仕組みになっています。業者と手作り(EUC)のバランスをとり、CIOがうまく舵取りできると良いな……という願いが込められています。
2010年12月号 ストレージ 帰納
「大風呂敷、カスケードの噴水」といったアイデアが出ていましたが、カスケードに落ち着きました。
2011年1月号 グループウェア ソフトロー
「ビル窓の照明がカレンダに見える」というものから、「テトリスで消え残ったブロックがカレンダに見える」に発展しました。
2011年2月号 マスター ー
「His Master's Voice」のうさぎ年バージョンです。ウサギがかわゆいです。ただ、絵を見てこの言葉が浮かぶ人がどれだけいるだろうかと心配になっています。1000人に一人でも良いから気づいてくれれば本望なんですが。
不思議なもので、うまく書けなかった原稿でも、良いイラストのアイデアが出たとたんに文章が進むことが多いです。用語とイラスト、どちらが先にネタ切れを起こすかと心配です。頑張って続けなくては。
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コメント
私も、イラストの仕事やったりしますが。。。ホントは奥が深いですヨ。
写真じゃ表現できないようなコトを、単純なカット絵にしたり。
時として、文字よりも、断然分かりやすかったりします。
ただ...時々困るのは、
「何でも」と、思ってしまうクライアントさんがいること。やっぱり、限界と適性はあります。誇張とクリエイティヴィティは良いけど、物理的に成り立たないウソは良く無いと思っています。でも、コミュニケーションができないと、それを伝えるすべが無いので、おかしいと思っても、そう、描いてしまいますけど。vakbさんのように、双方向でちゃんと相談できてると、良いですよね。1+1が2以上になると思います。
そういう結果としての上の記事、興味深いです。
イロイロオタクそうで(^^;
上の「角砂糖」。。。うーん。
私なら、難しかったかな。。角砂糖が巨大だと、角砂糖に見えなくなりますから。。。。
私だったら、シュガーポットから全部ぶちまけようとして、跳ねてるような絵にしたかも?
>良いイラストのアイデアが出たとたんに文章が進む
きっと、それが伝えたい事の中身だったからなのではないでしょうか?1+1が2以上っていうコトかも?
投稿: すずめ | 2011/01/22 10:21
ありがとうございます。マニアックに書きすぎると一般向け書籍にならないので、そういうものはこちらに書くことにしています(笑)。基本的に平易な解説の末尾にオタクなおまけをほんのちょっぴりという構成なのですが、(これは傑作だ)と思うイラストに隠された意味は、多くの読者には伝わってないだろうなぁと思って、こちらに書くことにしました。
機会があったら、すずめさんにもイラストをまとめて見ていただこうかなと思います。
投稿: ynb | 2011/01/22 11:30