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2011/06/19

ついに実践エクストリーム・シンポジウム

 このたび学会のシンポジウムの座長を務めさせていただきました。そしてずっとやりたかった運営手法をひとつの完成形として実践できたので、ここに報告します。いわゆるproudly presentというやつです。プログラム的にはメインイベントの扱いだったので恥ずかしかったのですが、初心貫徹でやり切りました。

 

 何をやったのかというと、エスクトリーム・ミーティングの学会シンポジウム版プラスTwitter生中継です。まず、座長席パソコンの画面を会場のスクリーンに出せるようにします。パソコンの設定は拡張画面として、手元画面とスクリーンに別の画面を出せるようにしました。私は座長席に座って、パソコンから発表者の要約や討論時のシンポジストの発言をほぼ完全にTwitterに流します。こちらは手元画面だけで会場からは見えません。会場には討論のアジェンダを書いたPowerPointのスクリーンを出しておいて、シンポジウムの進行に合せ、討論のトピックごとにシンポジストの発言を多少要約もしながら書き出していきます。実際はTwitterに送ったものの貼り付けです。

 

 このようにすると、Twitterを見ている人からはイベントの生中継に見え、会場にいる人からは討論のアジェンダにシンポジストやフロア質問者の発言をそのまま書き込んでいく、いわゆるextreme meetingをやっているように見えます。今回は2画面に分けることで両方をうまく融合させることができました。普通のエクストリーム・ミーティングでは、皆が見ている画面に直接書き込んでいますので、タイプミスや誤変換の修正などが丸見えで、リアルタイムに更新するため聴衆の目もスクリーンに向きがちです。しかし今回私は最初の入力をTwitter側の画面で行ない、編集が完了してTwitterに送信した文字列を一括貼り付けしたため、聴衆の集中力を削ぐ場面を最小限にできました。さらにTwitterでは予期せぬ返信などがあり、シンポジウム会場の画面に表示するには向きません。Twitterの画面は会場に表示せずに、できたものだけを会場に見せることができるようになりました。
 こうしてほぼ30分超の間、Twitterへの送信と会場への議事提示を並行して進めることができました。もちろん私はこれに加えて普通に司会ができたわけはなく、座長はもうひとりいて、そちらの方が討論を完璧に仕切ってくれたのですが(笑)。

 

 もうひとつ付け加えるとすれば、意図してやっているわけではないのですが、これは討論の「要約筆記」になっています。会場に全く耳の聞こえない方はおられなかったかもしれませんが、エスクトリーム・シンポジウムは、従来の枠組の中で聴覚障がい者への対応もできる、良いしくみだと思っています。

 

 今回やや残念だったのは、Twitter経由の質問や発言がほとんどなかったことです。Twitter側の発言を会場にフィードバックできればなお活発なシンポジウムとなったでしょう。このしくみは親指シフトに代表される文字の高速入力ができないと苦しいと思います。しかし新世代のシンポジウム運営のひとつの完成形だと思われ、今後も頼まれればやってみたいと思っています。

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コメント

これは座長の役目ではなく、会場係の役目だと思います。
座長はしっかり、リアルの議論を盛り上げてください。その中にtwitterのコメントを引用してもいいと思います。

投稿: 八幡 | 2011/06/19 14:42

コメントありがとうございます。そうですね、従来も会場係がtwitterの操作をする事例発表がありました。

 ただ、twitterで出た議論を選び出して座長に伝えるしくみがやや面倒で、紙のメモを座長に手渡しに行ったりするみたいです。座長の前にディスプレイを置くこともできますが、結局twitterの返信から何を取り上げるかは、討論に関する知識が豊富な座長が行なうのがベストです。エクストリーム・ミーティングでも、会議の主要メンバが議事録を作成していますので、エクストリーム・シンポジウムでも座長が取り仕切るのが良いと思います。
 もっとも一人座長でこれを行なうのは困難です。以前試行した際にそれを実感したので、今回は2人座長体制として、もう一人の先生に事前に議論の盛り上げをお願いしておきました。やってみて思ったのですが、テーマごとに討論内容の書記をしていると、自然に討論の全体像が頭に入ります。手を動かしながらも、もう一人の座長の先生と「こんな感じで良いですか」「ええ、次に行ってください」などと進め方について打ち合わせることができました。

 もともと2人座長のいるシンポジウムでは、2人がフルに働いているわけではないように思います。twitter実況まではやらなくても、座長の一人が議論の進行をスクリーンに記述していくことはお勧めしたいと思います。

投稿: ynb | 2011/06/20 12:39

山野辺先生
ご無沙汰しています。
静岡の内田です。ご無沙汰しています 遅くなりましたが

学会、シンポジューム等の在り方が、変わる年代に、入りつつあるとおもいます。
医療情報学会でも、木村先生をはじめ多くの先生方が、
自由に発言をして、どこで、できる。
ICTの元を、再度見て、どこでも対応する 体制を 作り始めていると感じますが。

黎明期で、参加者の不慣れも重なり
うまく 連動できないですが

今後の将来 数年後には、あたりまえの世界となると思いました。

この半年でも、twitterを使用したのは 3回 経験しました。

これかも、ご指導を賜りますよ
よろしくお願い申し上げます。

敬具

投稿: 内田です。 | 2011/06/30 22:45

コメントありがとうございました。たまたま最近の学会では新しい(?)ポスター発表のありようにも遭遇しました。
いろいろな可能性があるので、楽しく試していきたいと思っています。

投稿: ynb | 2011/07/05 22:27

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