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2012/06/24

Microsoft Wordで簡単クラウド・データベース

以前から試してみようと思っていたことですが、実際にやってみたところ「これは凄いことなのでは?」と思い始めました。

 実は、手元の端末でワープロ文書を編集して、それをメールやブラウザ経由で送れば、クラウド上に自動でデータベースができる時代がやって来ていたのです。それも一人月額400円で。
 プログラミングも不要で、ブラウザで手順どおりに設定項目を入力するだけなので、今日からあなたにも作れます。できたデータベースは手元のPCのExcelに簡単接続して活用できます。

 必要なものは、Microsoft WordとSharePoint Onlineです。あなたのパソコンでWordが使えるなら、ひとり月額400円のSharePoint Onlineを契約するだけで、「Wordで登録するクラウドデータベース」を体感することができるのです。

 具体的な手順は、5年近く前のこのページに教わりました。当時はSharePointがまだクラウド化されておらず、MSDNを使っても50万円、普通に買えば100万円は下らなかったでしょうから、この文章も企業などのIT専門家向けに書かれたことでしょう。しかし、いまではそれが月額400円くらいで使えることから、誰もがこの仕組みの恩恵を受けられるようになったわけです。これは凄いことです。

リンク: 設定だけで(開発をせずに) ワークフローから Office ドキュメントの中身を更新する方法 (1) - 松崎 剛 Blog - Site Home - MSDN Blogs.

手順の概略は次のようなものです。
 ・SharePointサイトに、必要な「列」を追加する。
 ・サイトに「コンテンツタイプ」を定義し、先ほどの「列」と関連づける。
 ・Wordのテンプレートをこの「コンテンツタイプ」に関連づける。
 ・この「コンテンツタイプ」を使ったドキュメントライブラリを作る。
 ・Word文書を作成して、サイト列と結びついたプロパティをクイックパーツとして挿入する。
 ・この文書を元に先ほどのテンプレートを更新する。

SharePoint用語に慣れない方にはわかりにくいと思いますが、小児慢性特定疾患の意見書を例としてサンプルを作ってみました。列を定義後のサイトの外観はこのようになります。

120623wordsp

このサイト上でドキュメントを追加すると、Wordが立ち上がってテンプレートを開きます。下の例ではサイト列と結びついたフィールドを黄色く塗っています。SharePointの列定義で選択肢から選ぶようにしておくと、Word側でもドロップダウンリストから入力できます。意見書の種別や現在の治療、転帰などは、すべてこの選択方式です。

120623wordsp1_2


このフィールド内容を書き換えて保存すると、内容がサイトの列に格納されるしくみです。Wordのテンプレート文書ですから、サイト上でなくオフラインでも入力可能です。あらかじめ用意した8つのWord文書を、サイトに一気にアップロードするとこのようになります。

120623wordsp2_2

サイトのツールバーに、「Excelにエクスポート」という項目があります。これをクリックすると、SharePointのバックグラウンドにあるSQLサーバーに接続された形になります。

120623wordsp3

以上、あっけないほど簡単です。

 医療関係者の方しかおわかりにならないかもしれませんが、この仕組みで、電子カルテのテンプレートも、インシデントレポートシステムも(メディパピルスみたいな)あの忌々しい診断書機械印字化ソフトも不要になるのではないかと思っています(ちょっと大袈裟?)。


現在は以下を試験中です。今後にご期待下さい。

・パソコン以外での利用
 イー・モバイルのGALAPAGOS Tablet A01SH上のDocuments To Goで試したところ、ドロップダウンリストなどのGUI部品は使えないものの、テキストフィールドを変更したWord文書をアップロードしたうえで、Webブラウザでサイト側のプロパティを設定することはできるようです。

・Wordの代わりにExcel でも使えるかどうか。

・毎度コンテンツタイプの定義が不要なように、汎用フィールド名で運用する使いこなし法。

・Information Rights Managementを併用してメール添付でも文書を登録できるか。
 施設内のSharePoint 2007では可能なので、たぶんクラウドでも可能だと思います。

よく、会議のスケジュール調整などで、「添付のExcelの日程表に○か×をつけてメールに添付して返送して下さい。」というメールを見ますが、返送されたメールを自動処理している人はどのくらいいらっしゃるのでしょうか。このしくみが目論み通り動けば、返送したExcelファイルから自動的に予定一覧表ができるでしょう。

リンク: オンライン サービス: SharePoint Online.

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コメント

非常に役立つ情報でした。参考にしたいと思いますが、詳細について、もっと具体的に教えていただければ助かります。
特にシェアポイントとワード文書のコンテンツタイプを具体的にどのようにしてリンクさせるのか?、いろいろとやってみましたが、うまく行きません。
ぜひ教えていただけばと思います。

投稿: 山本 | 2016/02/14 09:44

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