入院前後患者支援をPFM(patient flow management)と呼ぶのは誤解の元
かつて抄録集の「クリニカル」を全文置換してたこともある医療マネジメント学会の総会に来ています。
以前、あるメーリングリストで「アメリカで流行っているpatient flow managementをどうしてる?」という問いかけがありました。英語の感じから、外来患者の待ち時間短縮関係かなと思ったのですが、ネット検索してみると、それで間違いないようです。今の職場では、待合室に番号表示もあるし、検査結果が出たかが電子カルテの患者一覧ですぐ把握できるので、欧米に比べ進んでいると思いました。欧米ではERのフローを管理するのが主目的みたいです。そういえば昔米国のERで長く待たされました。もともと日本は病院の外来患者数が米国などとは比較にならないほど多いので、進化するのが当たり前です。
ただ、驚いたことに日本ではPFM(patient flow management)という名で全く別の意味で使われているらしいことを知りました。
日本のPFMというのは「入院前から退院後を見据えた患者支援をして、患者の入退院管理をスムーズにしよう」という概念のようです。勉強不足で間違っているかもしれません。
でも、この概念にpatient flow managementという英語をあててしまうと、日本以外では前述の意味で使われているので誤解の元です。英語の意味が日本では別の意味になるというのは、最近見かけない和製英語というか、まさにガラパゴス化です。今からでも遅くないですから別の英語を検討すべきです。
分かりやすい例がマンション(mansion)です。英語では大邸宅の意味ですから、海外で不用意にmansionを使ってしまうと、目を丸くされたり笑いものになったりするわけです。
ただ、Wikipediaによると日本のPFMは1999年からということで、海外でpatient flow managementという言葉が広まるのはそれより後なのではないかという気もします。残念ながら、これまたアイホンや富士通の元祖iPADの例があるように、元祖は日本でも世界で別概念が広まってしまえば、そちらに主役の座を譲るしかないのだと思います。そこで、新たな英語言い換えを考えてみることにしました。
ちょっと考えてみたのですが、
pre & post addmission support
あたりでどうでしょうか。米国の病院Web siteなどを見ると、単にpatient servicesで通るみたいですが。
PFMというタイトルの発表が集まった会場でフロアから質問してみたのですが、その発表者は「もう今はPFMという名は使っていない」とのことで、なんとなく「今後は使わないようにしよう」という主張に賛同が得られたような雰囲気でした。見直しの気運が高まると良いなと思います。
2016/4/23 Wikipediaとアイホンのくだりを追加しました。
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