長年使った「遠隔診療」をオンライン診療にして大丈夫なのか?
厚生労働省の会議で、「遠隔医療」のD to P部分、いままで「遠隔診療」と呼んでいたものに代えて「オンライン診療」という用語が正式採用となったみたいです。「遠隔医療」の語のほうはそのままです。
オンライン診療って、概念をきちんと定義できてるのか、理解して使っているのかとても心配しています。
ネットで検索すると、以下がトップに出てくるのですが、
未来投資会議構造改革徹底推進会合 「健康・医療・介護」会合(第2回)
医療法人社団鉄祐会 武藤理事長 提出資料(PDF)
オンライン診療とは、ICTを活用し、患者データの質と量を増やすとともに、 医師と患者の双方向コミュニケーションを深めることで、診療の質を高めて いき、従来の対面による診療を補完するものである。
これによると、「ITを活用し、データの質と量を増やすとともに、双方向コミュニケーションを深めれば」該当するようです。
第367回中央社会医療保険協議会総会 (29.11.1)事務局提出資料では、
「オンライン診療とは、 ICTを活用し、医師と患者が離れた場所でありながら、患者の状態を把握し、診療を行う」
ということのようです。
うーん、やはりきわめて定義が曖昧です。 これらの定義によれば、医師と患者が、ともにパソコンに向かい、血液検査結果の文字情報を見ながら、音声のみの電話で話したり、画像なしのチャットを行なっても、立派な「オンライン診療」ですよね。
対義語と英訳はどうなのか
このブログでいつも書いて来ましたが、用語が適切かどうかを考える場合は、対義語と英訳を考えることがとても役立ちます。
オンラインの反対はオフラインですよ。録画した動画を非同期で送るのは、オンラインと言って良いのか迷いますけど有用だと思います。画像を焼いたDVDを別送して電話で話すのはオフライン?オンライン? チャットとメールとFaxはどこまでオンライン? 結局のところ「非対面診療」の方が適切ではないでしょうか。
英訳はどうでしょう。国際的にはどう説明するのかな?オンライン診療と言いながら英訳は従来と同じtelemedicine, telecare, telehealthですというのは許しませんからねっ!
日本遠隔医療学会の最近の集会も盛会だったようなので、オンライン診療の定義がどうなったのか聞いてみたいと思います。
ちなみに「遠隔医療」の定義は同学会のWebサイトに載っています。
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